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もしも丸太がなかったら
俺は明
小説家志望ってこと以外は何のとりえもないごく普通の高校生。
進学や就職で離ればなれになってしまう地元の友達との最後の思い出づくりに、今度卒業旅行に行くことになったんだけど
あの時、旅行の誘いを断らなかったことを、僕は一生悔いることになる。
ハァハァハァ・・・
ちくしょう!!
みんなやられちまった、ケンちゃんも加藤も西山もポンも・・・ユキも!!
みんなあの変なバケモノに!!
俺はたまたま、みんなでやろうと思って持ってきていた
ゲームキューブがあったから何とかここまで逃げてこれたけど・・・
ちきしょう、体中が痛ェ
どこか隠れられる場所を探さないと・・・
「見つけたぞー!!」
ちくしょう見つかった!!あのバケモンだ!!
「逃がすか!!」
しまった、回り込まれたんだ!!
こうなったら戦うしかない!!
よくもみんなを!!
よくもユキを!!
うぁあぁぁああぁあぁぁ
ハァハァハァ・・・
なんとか助かったみたいだな
ハァハァハァ・・・
さっきは勝てたけど今度はどうなるかわかんねェ・・・
とにかく体が痛ェ・・・
どこかで休みてェ・・・
「いやがった、うまそうな人間が」
ちきしょう!!こんな時に見つかるなんて!!
しかもでけェ!!さっきよりもでけェぞ!!瓦が5枚だ!!
でも俺は戦う!!たたっ斬ってやる!!
(しまった!!さっきの戦いでゲームキューブが壊れていたのか!!)
「人間の分際でナメやがって、いただきだぜ」
ああ、もうダメだ!!
よりによってゲームキューブが壊れちまったからちくしょう!!
この島にいるのか!?いるんなら会いてェよ・・・
ガサッ
・・・兄貴
・・・
「おいっ!!」
「大・・夫か・・・!!」
「大丈夫か!!」
「明!!」
兄貴っ!!
どうして兄貴がここにっ!?
「2年前、俺はこの島に婚約者と来た。その両親に結婚の許しをもらうためにだ。
そこに、吸血鬼瓦ウイルスが蔓延しかなりの村人が発病した」
吸血鬼瓦ウイルス!?
なんだ兄貴!!なんだよそれ!!
「お前がさっき襲われていたあのバケモノ。あれが吸血鬼瓦だ。
そして血液から感染する吸血鬼瓦ウイルス、そのウイルスに感染したこの島の村人それが吸血鬼瓦の正体だ」
あのバケモノが元は人間!?
どういうことだ兄貴!!
「ウイルスに感染すると吸血鬼瓦になる。
つまり奴らの血が体内に侵入すればお前もあのバケモノになるって事だ」
兄貴!!
どういうことだ!!説明しろ!!
「俺の婚約者もそのウイルスに感染、ご丁寧にその両親までも吸血鬼瓦になった」
そんなことが兄貴の過去にあったなんて!!
じゃあ兄貴の婚約者はあのバケモノになっちまったってことかよちくしょう!!
「そうだ、するどいな明」
じゃあ兄貴は2年間もこの島で、いったいどうやってこの吸血鬼瓦だらけの島で生きてきたんだ!!
「ああ、それはな」
「彼女が・・・涼子が偶然島に持ってきていた」
「このゼクシィのおかげで奴らとも対等に渡り合うことが出来た」
(ゼクシィ!!)
「ゼクシィは総重量が5kg、簡単に言うと米と同じ。
そして厚さは約6cm、ダブルソフト二枚分だ。
オールカラーページで値段は500円
しかも今なら便利すぎる印鑑ケースや
破れないピンクの婚姻届がついてくる」
「どうだ、縁起がいいだろう」
(凄ェ!!ゼクシィは凄ェぞ!!ゼクシィがあればこの島で生き残れる!!)
「そこか!!」
「見つけたぞ丸メガネ!!」
「雅!!」
兄貴!!
「明、下がってろ!!雅は!!あいつは俺が必ず殺す!!」
「うおぉおおぉおおお!!」
ブチッ
・・・
シーン
兄貴!!トートバッグが!!
「まずい!!ゼクシィはこの専用トートバッグじゃないと持ち運びできないんだ!!」
(専用!?)
(ゼクシィを買うと専用のトートバッグがついてくるのか!!)
どうすればいい!!トートバッグを補修するようなものは!!
あったよ!!ガムテープが!!
「でかした!!」
「よし今度こそ!!」
「死ねェ!!雅!!うおおぉぉおぉおお!!」
兄貴強ェ!!
凄ェ!!
あの雅が一撃でコナゴナだ!!
よっしゃ!!
ゼクシィがあれば吸血鬼瓦にも勝てる!!
うぉおぉぉおおぉお!!
(完)