川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」

今、人類学がおもしろい! サルからヒトへ、そして現在もなお進化し続ける人類の謎

2015年02月06日(金) 川口マーン惠美
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〔PHOTO〕gettyimages

ときどき、自分が違う職業を選べるとしたら、何になりたかったかと、夢のように考えることがある。私の場合、オペラ歌手か人類学者だ。オペラ歌手はさておき、人類学者のほうだが、人類学は幅が広い。

過去から現在までの人類についてのすべてが包含される学問なので、考古学も生物学も、そして、言語学も民俗学も関係してくる。私は、サルがヒトに変化していった過程とか、それよりもずっと後だけど現在よりはずっと前の、マンモスを狩っていたころの人間などに、とりわけ興味がある。

『日経サイエンス』の12月号の大特集「人類進化 今も続くドラマ」は、極め付きにおもしろかった。

第1部 直系祖先はだれだ? 気候変動のインパクト 進化を加速したハンマー
第2部 一夫一妻になったわけ 助け合いのパワー 生まれながらの協力上手
第3部 ネット化された霊長類 まだまだ続く進化

の3部構成となっている。

人類進化は一本ではなく、とても複雑に進んでいた

中学校のとき、人の一番古い祖先はアウストラロピテクスだと習った。教科書に載っていたアウストラロピテクスの絵はゴリラと人間のハーフのようで、怖いながらも楽しくて、ある先生にアウストラロピテクスというあだ名を付けた。だから、今でもこの原人の名前はスラスラと言える。

アウストラロピテクスのあと、初めてヒトといえるホモ・エレクトスが現れて、これがネアンデルタール人に進化し、それがさらに進化して、我々の直系の祖先であるホモ・サピエンスになるというのが、昔、習ったことだ。進化は一直線だった。

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