ときどき、自分が違う職業を選べるとしたら、何になりたかったかと、夢のように考えることがある。私の場合、オペラ歌手か人類学者だ。オペラ歌手はさておき、人類学者のほうだが、人類学は幅が広い。
過去から現在までの人類についてのすべてが包含される学問なので、考古学も生物学も、そして、言語学も民俗学も関係してくる。私は、サルがヒトに変化していった過程とか、それよりもずっと後だけど現在よりはずっと前の、マンモスを狩っていたころの人間などに、とりわけ興味がある。
『日経サイエンス』の12月号の大特集「人類進化 今も続くドラマ」は、極め付きにおもしろかった。
第1部 直系祖先はだれだ? 気候変動のインパクト 進化を加速したハンマー
第2部 一夫一妻になったわけ 助け合いのパワー 生まれながらの協力上手
第3部 ネット化された霊長類 まだまだ続く進化
の3部構成となっている。
人類進化は一本ではなく、とても複雑に進んでいた
中学校のとき、人の一番古い祖先はアウストラロピテクスだと習った。教科書に載っていたアウストラロピテクスの絵はゴリラと人間のハーフのようで、怖いながらも楽しくて、ある先生にアウストラロピテクスというあだ名を付けた。だから、今でもこの原人の名前はスラスラと言える。
アウストラロピテクスのあと、初めてヒトといえるホモ・エレクトスが現れて、これがネアンデルタール人に進化し、それがさらに進化して、我々の直系の祖先であるホモ・サピエンスになるというのが、昔、習ったことだ。進化は一直線だった。
- 今、人類学がおもしろい! サルからヒトへ、そして現在もなお進化し続ける人類の謎 (2015.02.06)
- 屈辱の緊縮財政に終止符を打つ!? ドイツの冷徹な"統治"に反旗を翻すギリシャ新政権にEUは大揉めの予感 (2015.01.30)
- やはり相撲は日本の国技である! 緊張と弛緩が心地よく繰り返される大相撲の醍醐味 (2015.01.23)
- ナチス・ドイツに貸したお金を取り返せるか!? 第二次世界大戦中の借款をめぐるドイツとギリシャの攻防がおもしろい (2015.01.16)
- 最高のソプラノリサイタルを聴いた、久しぶりに日本で過ごすお正月 (2015.01.09)
-
牧野 洋の「メディア批評」有料会員数40万の大台目前も、米紙との比較では大きく立ち遅れる日経電子版 (2015.02.06)
-
川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」 今、人類学がおもしろい! サルからヒトへ、そして現在もなお進化し続ける人類の謎 (2015.02.06)
-
木暮太一の「経済の仕組み」「文章力は、伝達力の基本」 【第18回】「具体的に書く」とはどういうことか? (2015.02.06)
-
安田菜津紀「ファインダー越しの東北」悲しみを繰り返さないために-桜で残す、津波の記憶- (2015.02.06)