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 軍事クーデター後のタイ暫定政権のプリディヤトーン副首相(経済政策担当)は5日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、カンボジア国境からバンコクを通り、ミャンマー国境へと抜けるタイ南部を東西に横切る鉄道新線の建設について、日本に調査を求める方針を明らかにした。8日から訪日するプラユット首相は安倍晋三首相との首脳会談で、鉄道や投資を含む経済協力で合意する見通し。

 鉄道建設をめぐっては、タイは中国と昨年12月、ラオス国境からバンコクを経由してタイ湾に抜ける南北ルートを共同開発することで合意している。プリディヤトーン氏は、日本との東西、中国との南北両線を「近隣国と結ばれ、経済発展に寄与する最優先路線」と位置づける。日本の路線は南部経済回廊と呼ばれる地域で、バンコク周辺に日系企業が進出する地域がある。日本がかつて希望していたバンコクと北部チェンマイを結ぶルートについては「暫定政権であり、時間に限りがある」と消極的だった。

 中国との開発計画は前政権が予定していた高速鉄道から時速160~180キロの「中速鉄道」へ変更したが、日本との開発は、旅客か貨物か、最高速度や資金の調達などについて「日本側の調査後に決める。個人的には新幹線を希望する」と話した。昨年末の訪中時に中国版新幹線に試乗したプラユット首相は、今回の訪日でも新幹線に乗る方向で調整中。タイ政府としては、鉄道などインフラ輸出で競い合う日本と中国双方から技術やお金を引き出したいものとみられる。