発送電分離:20年に実施へ 政府、電気事業法改正案に
毎日新聞 2015年02月05日 20時13分
政府・与党は5日、大手電力会社から送配電網を切り離す「発送電分離」を2020年に実施する方針を固めた。今国会に提出する電気事業法改正案に盛り込む。13年に成立した電力システム改革法は、発送電分離の時期を「18〜20年をめど」としていたが、最も遅い時期にする。
送配電網は大手電力会社が独占してきたが、発送電分離によって、太陽光発電など新規参入業者も送配電網を利用しやすくする。電力会社の競争を促し、電気料金の引き下げやサービス向上につなげる狙い。
だが、大手電力会社は「送配電網が切り離されると、資金調達の裏付けとなる資産が減り、経営に悪影響を及ぼす」「電力の安定供給に支障が出かねない」と異論を唱えてきた。政府・与党も、原発停止の長期化で電力会社の経営が悪化したことに配慮し、「安定供給のためにも一定の準備期間が必要」と判断した。ただ、発送電分離の時期が遅くなると、利用者が値下げなどのメリットを受けられる時期もずれ込む恐れがある。
東京電力福島第1原発事故を踏まえて、政府は電力システム改革に着手。これまでは大手電力会社が地域ごとに電力供給を独占してきたが、電力不足に機動的に対応する広域的な電力融通の司令塔となる組織を今年4月に設置する。さらに家庭も含めた電力小売り全面自由化を来年4月に実施し、発送電分離は改革の総仕上げと位置付けてきた。
一方、都市ガス大手3社のガス導管部門を別会社化する法的分離を巡っては、政府・与党は実施時期を22〜23年とする方向で調整している。当初は19〜21年を目指していたが、法的分離後の保安体制を十分に確保するために、実施時期を後ろにずらす。【中井正裕】