インタビュー
オープンβテストが始まった「バトルフィールド ハードライン」のエグゼクティブプロデューサーに,ストーリーの話を中心に聞いた
CBTに先立つ北米時間の1月26日,パブリッシャのElectronic Artsがメディア向けのOBTプレビューを開催したのは,2月2日に掲載した記事でもお伝えしたとおりだが,その際,Visceral Gamesのスタッフにインタビューする機会が得られた。
「バトルフィールド ハードライン」公式サイト
「バトルフィールド ハードライン」については,過去にも何度か開発者へのインタビューを行っているが,今回話を聞いたのは,Visceral Gamesの副社長であり,本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるSteve Papoutsis氏だ。Visceral Gamesの過去の作品すべてに携わってきたPapoutsis氏は,名実共に開発チームのリーダーといえるだろう。
「Dead Space」のヒットを受けてVisceral Gamesという名称に変更されたのは2009年のことで,それ以前は「EA Redwood Shores」というElectronic Arts内部の開発スタジオとして「The Godfather: The Game」や「The Simpsons Game」などのライセンスタイトルを作ってきた。
出世作の「Dead Space」がシングルプレイしかなかったことや,名称変更後に制作したいくつかの作品などから,Visceral Gamesが「ストーリー重視のアクションゲーム」を作るスタジオであるという印象を受ける人も多いだろう。
さて,もともとマルチプレイオンリーでスタートした「バトルフィールド」シリーズだが,「バトルフィールド:バッドカンパニー」以降の作品では,ストーリーに沿ったシングルプレイが導入されてきた。しかし,残念ながらその評価は必ずしも高くはなく,「バトルフィールド 3」では「内容が薄く,短時間で終わってしまう」などとも批判された。
もっともこれは最近のFPS全般の傾向であり,「バトルフィールド」シリーズに限った話ではなく,有名FPS作品の中には「プレイヤーの半数以上がシングルプレイを終わらせない」というものもある。つまり,大多数の人が,FPSではマルチプレイしか遊ばないというわけだ。
そんなFPSジャンルに「Dead Space」のVisceral Gamesが挑むのだから,とくにシングルキャンペーンにメディアの興味が集まるのは当然だが,あまり新情報は出てこない。というわけで,Papoutsis氏には今回のOBTの意図に加えて,知られざるシングルプレイについての話を聞いてきた。
スピード,ストーリー,そしてストラテジー
4Gamer:
「バトルフィールド ハードライン」の発売時期からみて,オープンβテストがそろそろ来るのではないかと考えていましたが,いよいよ始まりましたね。
Steve Papoutsis氏(以下,Papoutsis氏):
我々もすごく興奮しています。プレイしての感想はどうですか。
4Gamer:
そうですね,ホットワイアは未プレイだったんですが,「バトルフィールド」シリーズらしい広いマップで乗り物を走らせる展開が,「警官vs.犯罪者」というテーマに非常にマッチしているように感じました。楽しかったですね。
Papoutsis氏:
それは良かった。「警官vs.犯罪者はバトルフィールドじゃないよ」なんて言われることもありますが,シリーズらしさと新しさを同時に感じてもらえたのは素直に嬉しいです。「バトルフィールド ハードライン」のコンセプトは,スピード(Speed),ストーリー(Story),そしてストラテジー(Strategy)という3つのSになります。中でも意識しているのがスピード感で,「バトルフィールド」シリーズで最も展開が早いゲームにしたいと思っていました。
4Gamer:
2014年6月のクローズドβテストの後,「改善すべき10項目」を発表し,さらに発売を2014年秋から5か月ほど延期しましたが,どういうことがあったのでしょう。
Papoutsis氏:
基本的には,より良いゲームをファンに提供したいということです。我々は,熱狂的なバトルフィールドファンが存在することを知っていますし,彼らをより理解するため,さらに綿密なコミュニケーションをとっていきたいと考えています。そうした彼らの要望を反映させるために,発売を延期させるという決定を下しました。
その結果,例えば「10項目」には「徒歩のスピードを10%向上させる」というのがあるのですが,そうした変更を加えることで,ファンが望むようなスピード感が実現されることになりました。CBTの時点では,「バトルフィールド 4」と同じ移動速度だったのです。
4Gamer:
今回プレイした「ホットワイア」と「ハイスト」では,スピード感が巧みに表現されていますね。
Papoutsis氏:
「ホットワイア」はとくにスピード感を重視したものですし,「ハイスト」は「警官vs.犯罪者」という基本的なテーマを最もよく表現したものです。さらに「コンクエスト」では,これまでの「バトルフィールド」シリーズの血脈をしっかり受け継いでいることを体験できるでしょう。
4Gamer:
最近「クロス・ヘア」という新モードが発表されましたが(関連記事),今回のOBTではその「クロス・ヘア」に加えて,すでに発表されている「レスキュー」と「ブラッド・マネー」がプレイできません。理由はなんでしょうか。発売時期も近いことですから,もう完成はしているんですよね。
Papoutsis氏:
もちろん,オフィスでは遊んでますし,テスターの評判は良いですね。
「クロス・ヘア」と「レスキュー」は競技を意識して作ったモードなので,気心の知れたチームや仲間と遊ばないと楽しさが伝わらないため,OBT向きではないと判断しました。
人類の未来に関わるような大げさなテーマではない
4Gamer:
「Dead Space」シリーズの影響からか,Visceral Gamesという名前には「ストーリーテリングに長けたメーカー」というイメージがあります。これまでストーリー部分をあまり公表してこなかったのは,プレイヤーを驚かせようと思ってのことですか。
Papoutsis氏:
いや,そういうつもりはありません。シングルキャンペーンを紹介するトレイラーも公開していますしね。もちろん,我々としては「バトルフィールド ハードライン」の特徴の1つとして,ストーリー部分をしっかり楽しんでいただきたいという希望があることは間違いありません。
4Gamer:
「バトルフィールド ハードライン」の企画段階では,1980年代にアメリカだけでなく日本でも人気を獲得したテレビドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」の影響を強く受けたと聞きました。
Papoutsis氏:
日本でも知名度が高いんですか? それは良かった。とはいえ,マイアミ・バイスだけではなく,刑事モノのテレビドラマなら,昔の作品から現代のものまで参考にしています。どちらかといえば,近頃のテレビドラマのほうが,トレンド的に,最近のゲーマーにしっくりとくると思います。
4Gamer:
なるほど。私がマイアミ・バイスを連想してしまうのは,当初リリースされたスクリーンショットに,主人公がアフリカ系のパートナーと一緒に写っているものがあったからかもしれません。
Papoutsis氏:
マーカス・ブーン(Marcus Boone)ですね。主人公のニック・メンドーサ(Nick Mendoza)のパートナーの1人です。ニックは,ほとんどの場面でパートナーと一緒に行動することになります。
4Gamer:
そういえば,アジア系の女性警官もパートナーとして紹介されていましたが,異なるロケーションでパートナーが変わるということなんですね。
Papoutsis氏:
彼女は,ロサンゼルス市警のベトナム系アメリカ人カイ・ミン・ダオ(Khai Minh Dao)ですね。ゲームには,さらにもう一人出てきます。ここでゲームの設定をお話ししておきますと,もともとマイアミ市警の刑事だったニックと彼のパートナーが,汚職警官によって罠にはめられ,汚職の濡れ衣を着せられてしまうのです。ニックは汚名を晴らすために地下に潜り,罠にはめた人物を追って西海岸のロサンゼルスまで移動していくという,約4年間を描いたストーリーになっています。
マーカス・ブーン |
カイ・ミン・ダオ |
4Gamer:
巨大な陰謀から世界を救うヒーロー,というわけではないんですね。
Papoutsis氏:
そうなんです。「バトルフィールド ハードライン」は,人類の未来に関わるといった大げさなテーマは持っていませんし,復讐に燃える主人公は勧善懲悪のヒーローとして描かれるわけでもありません。より人間的なキャラクターになっていると思います。そのあたりをぜひゲーマーの皆さんにじっくりと見てほしいですね。
テレビドラマを意識させるキャンペーンの構成とシステム
4Gamer:
映画や小説ではなく,テレビドラマを参考にしたという理由はなんですか。
Papoutsis氏:
「警官vs.犯罪者」というコンセプトを考えたときに,ゲームのミッションがテレビドラマの1エピソードに似ていると感じたからです。プレイヤーの集中力といった点でも,1つの長い話をダラダラと続けることは良くないと思います。例えば,途中でセーブしたゲームを1週間後に再開したとき,ストーリーをまったく忘れているということもよくありますよね。FPSでシングルキャンペーンを終了させるプレイヤーが少ないというのも,それが理由の1つになっていると思うのです。これを改善する意味でも,それぞれのミッションをテレビドラマの1つのエピソードに似せて,だいたい30分から1時間ほどで終えられるようにまとめたのです。
4Gamer:
なるほど。
Papoutsis氏:
本作には,テレビドラマの雰囲気を演出するシステムも用意しています。シリーズもののドラマでは,1週間前の放送分のダイジェストを,新エピソードを放送する前に見せることがありますよね。「バトルフィールド ハードライン」では,キャンペーンを再開するたびに,それまで起きていたことを紹介するような仕掛けが用意されています。
ゲームを抜けるときにも,「次回の予告」という感じで映像が表示され,プレイヤーに戻ってくることを促しますが,これらはテレビ的な演出だと言えるでしょう。
4Gamer:
それは,なかなかのアイデアですね。ところで,キャンペーン全体の長さはどれくらいになるのですか。
Papoutsis氏:
プレイヤーによると思いますが,7時間から10時間くらいでしょう。ただ,プレイの仕方によっては,それ以上になると思います。
「バトルフィールド ハードライン」には“ケースファイル”と呼ばれる要素があります。これは,隠しアイテムを探すなどのメタゲームですが,隠しファイルを1つずつ探していくことで事件の真相により近づけるほか,武器などをアンロックできる報酬が得られます。オプションですから,必ずしも血眼になって探す必要はないのですが,皆さんにはぜひ挑戦してほしいですね。
4Gamer:
パートナーと活動する刑事モノと聞くと,Co-opモードのようなものも連想できますが,そのあたりはどうですか。
Papoutsis氏:
我々も「Army of Two」の経験から,企画当初には考えたのですが,結局,かなり早い段階でCo-opモードは削られました。でも,チームデスマッチもある意味Co-opですから,そちらで満喫してもらえると思います。
4Gamer:
マルチプレイ用マップは,シングルキャンペーンに登場するマップを再利用したものなのですか。
Papoutsis氏:
マルチプレイ用マップは全部で9種類ありますが,マイアミ近郊の湿地帯とか,ロサンゼルスの東側にある砂漠地帯など,ストーリーを意識したものになっています。ですが,シングルプレイのマップをそのまま使っているのではありません。
4Gamer:
DLCのプランなどもすでにあると思いますが,いかがですか。
Papoutsis氏:
もちろんありますが,それはまだお話しできませんね。
DLCには,ゾンビモードのようなものはあるのでしょうか。ネクロモーフ(「Dead Space」に登場するモンスター)モードとか,悪くないと思いますが。
Papoutsis氏:
まあ,可能性は低いでしょうけど,考えておきます(笑)。「バトルフィールド」シリーズ従来作と同様,1年半のDLCサポート期間が設定されていますので,ファンの要望次第では,驚くようなものが出てくるかもしれません。
4Gamer:
分かりました。今後の情報も含めてリリースを楽しみにします。本日はありがとうございました。
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