ウクライナ:ロシアを侵略国家と認定 親露派はテロ組織
毎日新聞 2015年01月28日 20時28分
【モスクワ田中洋之】ウクライナ最高会議(国会)は27日、緊迫する東部情勢や南部クリミアをめぐって対立するロシアを「侵略国家」と認定する声明を採択した。また、東部を実効支配する親露派の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」についても「テロ組織」と認定。政府と親露派の直接対話を事実上拒否するもので、戦闘停止と和平の実現が遠のく恐れがある。
声明では、ウクライナがロシアの軍事侵略の標的となっており、国連憲章などを踏まえてロシアを「侵略国家」とみなすと強調。国際社会に対し、同様にロシアを侵略国家と認めるよう求め、ロシアへの制裁圧力を強化して侵略行為やクリミアの不法占拠をやめさせるよう呼びかけている。声明は議員289人中、271人の圧倒的多数の賛成で採択された。
ウクライナ東部での戦闘が激化するなか、同国政府は26日、ドネツク、ルガンスク両州に非常事態を宣言。親露派を「テロ組織」と認定して取り締まる法改正を進めるなど対決姿勢を強めている。
最高会議の声明について、ロシアのカラシン外務次官はインタファクス通信に対し「ウクライナで今必要な妥協を探る道を閉ざすもので、無責任だ」と批判した。ロシアは、紛争解決にはウクライナ政府と親露派の直接対話が不可欠だと主張している。