岩田氏:BEIには欠陥、それだけで予想インフレ判断は危険
Bloomberg 2月4日(水)16時9分配信
さらに、最近BEIが非常に下がっていることについて、「長い間2%程度でアンカーされていた米国ですらこの原油価格の下ではピークから30−40%下がっており、最近の動きはよく分からないところがあるので、それだけを見て予想インフレ率がどうなったかと判断するのは少しリスキーだ」と指摘。
「サーベイデータ、あるいは賃金交渉や企業の価格設定行動など少し広い範囲でデータを見るようにしている。その結果、広い範囲で見ると、足元でインフレ率が落ちているからと言って、中長期の予想インフレ率がそれほど崩れているわけではないことが分かってきた。そういう意味で、情報を提供、分析してくれるスタッフのおかげで、学者時代よりいろいろと深く分析できるようになったと思っている」と述べた。
原油下落は物価上昇要因に
原油価格の下落が消費者物価に与える影響について「前年比の影響はいずれはく落する。経済活動には非常に好影響を与えるので、長い目で見ると、物価上昇要因になる」と指摘。
「原油価格は現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提に立てば、原油価格下落の影響がはく落するに伴って、物価上昇率は伸び率を高めて、15年度を中心とする期間に2%に達するとみている」と述べた。
岩田副総裁は「ただし、原油価格はこのところ大幅に変動しており、消費者物価が2%に達する時期が原油価格の動向によって多少前後する可能性はあると考えている」と指摘。
「日銀としては、2%の物価目標を2年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現するよう量的・質的金融緩和を強力に推進していくという方針に全く変わりはない」と述べた。
日銀のコミットメントが十分でなくなるリスクも
一方で、「原油価格が今後どんどん下がっていって、5年や10年といった予想インフレ率も下がってくると、どれくらい下がるかに依存するが、やはりそれは前向きな活動に影響を与え、それによってできるだけ早く実現するという日銀のコミットメントが必ずしも十分でなくなるリスクはある」と指摘。
「原油価格が予想インフレ率にどのような影響を与えるかを注視していく」と述べた。
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最終更新:2月4日(水)16時9分
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