危険ドラッグ:マンション内に山盛りの粉末 密造工場摘発
毎日新聞 2015年02月04日 22時21分(最終更新 02月04日 22時33分)
埼玉県川口市飯塚のマンションに置かれた国内最大級の危険ドラッグ密造工場が摘発された事件。神奈川県警などは4日、東京都豊島区南長崎1、無職、根本雅文(37)、杉並区和泉1、アルバイト、馬場雄二(27)の両容疑者らを麻薬取締法違反(営利目的所持)容疑で再逮捕した。両容疑者は詳しい供述を避けているが、捜査で密造工場の実態が徐々に明らかになってきた。
JR川口駅から徒歩10分弱。マンションは住宅街の一角にある。「うそでしょ。ここが工場だなんて……」。記者が事件の内容を伝えると、工場があったマンションの8階の住民たちは一様に息をのんだ。異臭や不審な物音はなく、大量のドラッグが密造されている気配をうかがい知ることはできなかった。
密造グループは警戒に警戒を重ねていた。マンションに表札はなく、カーテンは締め切られていた。出勤、帰宅の時間帯を避け、日曜を除いて午前10時に集合、午後11時に解散していた。中国から原料粉末を輸入する際も、偽名で税関に到着の有無を尋ねていた。
工場も半年ごとに移転。県警が把握するだけで、東京都大田区(14年1月)、新宿区(14年夏)、豊島区(14年12月)と、摘発までに計3回移転していた。
工場からの押収品は約4000点。密封機3台、白い粉末が山盛りになったサラダボウル、赤や黄の液体が入った小瓶数百本−−。発送の準備ができた危険ドラッグは2600点に上った。販売店とみられる50店舗に関するメモや、取引先とみられる電話番号を書いた付箋が貼られた携帯電話もあった。3LDKの部屋は、寝泊まりできるスペースが全くなかったという。
県警によると、根本、馬場容疑者の2人が、電話やパソコンで受注し、葉片に粉末をまぶすなどして危険ドラッグを密造。時給1500円で雇った少年(19)=同容疑で再逮捕=ら2人を「よい仕事がある」とスカウトし、梱包(こんぽう)などを手伝わせていたという。【水戸健一、松浦吉剛】