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アギーレ監督 異例の解任劇

2月4日 21時35分

西裕季利記者

サッカー日本代表のアギーレ監督が、4年前にスペインで関わったとされる八百長疑惑を受けて、就任から半年足らずで異例の解任となりました。
解任に至った経緯と日本代表への影響、後任決定の見通しについて、スポーツニュース部サッカー担当の西裕季利記者が解説します。

緊急会見で監督解任を発表

3日午後5時。
日本サッカー協会で開かれた緊急記者会見の冒頭。

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大仁邦彌会長はアギーレ監督などを訴える八百長疑惑の告発状がスペインの裁判所に受理されたことを明らかにし、「契約を解除する」と発表。
就任から半年足らずでの異例の解任となりました。
理由について大仁会長は「日本代表への影響が出ないよう、リスクを排除する必要があった」と説明しました。

W杯惨敗を受けてアギーレ監督を招へい

アギーレ監督就任の1か月前。
日本代表はワールドカップブラジル大会の1次リーグで1勝もできず、惨敗しました。
代表の立て直しを進めるなかで、アギーレ監督はまさにうってつけと言える指導者でした。

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現役時代はメキシコ代表として活躍、引退後、指導者となってからは選手の敏しょう性や組織的な戦いなど、日本代表と共通点の多い母国メキシコの指揮を執り、2002年と2010年のワールドカップ2大会でベスト16に導きました。

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スペイン1部リーグでも有力クラブの監督を歴任するなど実績十分で、日本サッカー協会は2010年の最初のオファーから4年越しでようやく招いた指導者でした。
就任後は武藤嘉紀選手や柴崎岳選手など若手を中心に新戦力の発掘を進め、次のワールドカップロシア大会に向けて着実に歩み始めていました。

八百長疑惑が

こうしたなか去年9月下旬。
スペインで地元メディアの報道が駆け巡ります。

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2011年5月、アギーレ監督が監督を務めていたスペイン1部リーグのチームが、勝って1部残留を決めた試合の前に相手側に金を渡した八百長の疑いがあり、アギーレ監督も関与していたと報じられたのです。
アギーレ監督は一貫して「八百長には関わっていない」と否定しました。
疑惑が報じられるなか、アギーレ監督の指揮に変化が見え始めます。

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11月の強化試合では遠藤保仁選手など実績のあるベテランを招集。
若手中心の路線から「結果」重視に舵を切ります。

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そして去年12月、アギーレ監督が当時の選手など40人とともにスペインの検察当局から八百長の疑いで告発され、疑惑が現実味を帯びていきます。
日本代表が連覇に挑む1月のアジアカップ直前の最悪のタイミングでした。

連覇逃すも手腕は評価

そのアジアカップで、日本代表はアギーレ監督のもと安定した戦いを見せ、1次リーグでは失点することなく3連勝したものの、準々決勝はペナルティーキック戦の末、涙をのみました。
それでも日本にあった戦術と思い切りのよい選手交代。

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さらに短いことばで選手の気持ちを高める的確な指示で選手の信頼も勝ち取り、その手腕は高く評価されました。

解任の背景に

そして迎えた3日。
日本サッカー協会は告発の受理を確認したとして、「日本代表への影響」を理由に監督の解任に至りました。

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しかし、解任にはもう一つの大きな理由、スポンサー企業への配慮があったと見られます。
関係者は「疑わしい状況のアギーレ監督を支援するのはイメージダウンにつながるおそれがある」とスポンサーからの懸念が強まっていたと指摘します。
監督の手腕を評価する一方で、解任に踏み切らざるを得ませんでした。

後任監督が焦点に

アギーレ監督の解任で、次の焦点は後任の人選に移ります。

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日本代表は6月から始まるワールドカップロシア大会のアジア予選を見据えて、3月下旬に2試合の強化試合を組んでいます。
ワールドカップ出場は日本代表にとっての最重要課題、失敗は許されません。
日本サッカー協会はすでに人選に乗り出し、技術委員会が後任候補のリストアップなどを本格化させます。

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求める監督像としては、▽代表チームやクラブでの指導経験が豊富で、▽敏しょう性や組織的な戦いなど日本選手の持ち味を生かした指導ができることなどを挙げています。
しかし、条件に合って後任候補となりうる指導者の多くはすでに海外の代表チームやシーズン中のヨーロッパや南米のリーグで指揮を執っています。
Jリーグの現役の監督についても開幕間近なチームへの影響を考慮し、起用には否定的です。
さらに、アギーレ監督の解任に至った経緯も踏まえて、サッカー以外の面でも問題がないか慎重にならざるを得ず、いわゆる「身体検査」を徹底することが求められます。

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日本サッカー協会は新しい監督のもとで3月の強化試合に臨みたいとする一方、大仁会長は「間に合わせるための人事はしたくない」とも話し、人選は難航する可能性も出ています。
それでもワールドカップ予選が目前に迫るなか、アギーレ監督のもとで進めた半年という時間をむだにすることは許されず、日本サッカー協会には代表の強化を停滞させない早急な体制作りが求められます。


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