コスパが悪い?:若者の「恋愛に無関心」 本音は…

毎日新聞 2015年02月04日 17時53分(最終更新 02月04日 18時17分)

バレンタインデーを前に女性客でにぎわうチョコレート売り場。「恋愛離れ」なのかどうか「最近は家族や友人、自分への『ご褒美』チョコが人気です」と担当者=東京・池袋の西武池袋本店で、武市公孝撮影
バレンタインデーを前に女性客でにぎわうチョコレート売り場。「恋愛離れ」なのかどうか「最近は家族や友人、自分への『ご褒美』チョコが人気です」と担当者=東京・池袋の西武池袋本店で、武市公孝撮影

 彼らの親はおおむね1960年代生まれ。入社数年後にバブル崩壊、その後の不況に遭遇した。「ゆとり世代は、親からの教育も周囲の空気も『無駄なことをせず、効率的に』だった。だからとにかく先の見えないことやリスクを避ける意識が強い」と分析する。その結果、不確定な恋愛に時間やお金をかけるのは「コストパフォーマンス」(コスパ)が悪い、だから結婚に至らない恋愛はしたがらないし、恋愛意欲も弱い−−という流れのようだ。

 実際、記者の知人でゆとり世代の少し上、29歳の会社員男性は、顔立ちも服装もシュッとしていてモテそうだが「カノジョ? いや、いたことないです」。中学・高校と男子校で、大学も会社も男が圧倒的に多い。「だから周囲に交際歴がない人が多いし、焦りもない。正直、風俗店には行きますが、恋愛はいらないし、好きになる女性もいないなあ。だって2年、3年と付き合って別れたりしたらすごく『損』じゃないですか」。結婚願望はあるから、いずれ「婚活」をする、という。

 ◇自分にウソ

 「『恋愛に関心がない』というのは本心か疑問です。僕は自分をだますウソだと思う」と指摘するのは早稲田大の森川友義教授。専門は政治学で、少子化対策の一環として恋愛行動の研究を始め、今や「恋愛学」の授業を開く。

 心理学に「認知的不協和」という考え方がある。達成したい目標があるのにできない。ストレスになる。この矛盾を埋めるために自分を正当化する言い訳を考える、というものだ。

 「好きな人がいる、交際したいという欲求はあるが、実現できない。だから『恋愛に興味がない、めんどくさい』と自分を納得させる言い訳をする。なくなったのは恋愛への関心ではなく、口説いて恋愛する能力、男女間のコミュニケーション能力と、恋愛にかける時間、金、労力です」

 背景には、近年のスマートフォンなど「便利で面白い機器の普及」があると見る。国の「出生動向基本調査」では、性交渉未経験率(18〜34歳、未婚者)は90年代から低下傾向だったが、05年に男性31・9%、女性36・3%で底を打ち、10年に男性で4ポイント以上も上昇した。「そうした機器に1日何時間もかじりついていれば、口説きの能力なんて磨かれないし、恋愛に必要な時間もお金も投資しなくなるのは当然。恋愛やセックスに関心がない人が増えている、とは思いません」と言い切る。

 ◇虐待の痛みも

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