台湾で58人乗り旅客機墜落 離陸直後、23人死亡
朝日新聞デジタル 2月4日(水)13時29分配信
台北で4日午前11時(日本時間正午)ごろ、乗客乗員58人が乗った復興航空(トランスアジア航空)機が市内の松山空港を離陸した直後、市街地近くの基隆河に墜落した。同日夜までに23人が死亡。15人が救助されたが20人の安否が不明で、救助活動は難航している。機体の一部は川底に沈んでおり、閉じ込められている恐れがある。
【写真】台北市と新北市の間を流れる基隆河に墜落した旅客機の救助活動=4日午後2時45分ごろ、鵜飼啓撮影
墜落したのは昨年4月に納入された双発プロペラ機ATR72型機で、先月26日に点検を行っていたという。中国福建省アモイ対岸にある台湾の離島、金門島に向かっており、乗客のうち31人は金門島から船で中国に戻る予定の中国人だった。
近くのマンションで事故を目撃した男性によると、旅客機は「シューッ」という音を立てながら低空を西側から飛来し、高架道路をかすめて川に墜落。同じマンションの警備員は「エンジン音が聞こえなかった」としており、エンジンに問題が起きていた可能性がある。道路を走行していたタクシーにも被害があり、運転手ら2人がけがをした。
台湾メディアによると、パイロットは離陸2分後に救難信号を出した。墜落したのは松山空港から約5キロ離れた新興ビジネス街の南港地区。台湾大手の中国信託商業銀行が本店を置くほか、ソフトウェア工業園区の整備も進む。近くには10階程度のマンションも並んでおり、パイロットは市街地での墜落を避けようとして川に向かったのではないか、との見方も出ている。
墜落した機体はひっくり返り、下半分が川面から出ている状態。救助活動には消防や軍などの約千人が投入され、ゴムボートなどで近づいて捜索に当たった。ダイバーの姿も見えた。
中国国営新華社通信によると、墜落機に乗っていた中国人はアモイの旅行会社を通して訪台していた。習近平(シーチンピン)国家主席は関係機関に対し、救助活動に協力するよう指示。国務院台湾事務弁公室は台湾当局に全力で救助にあたるよう求め、国営中央テレビも救助作業の様子を生中継した。
2008年に中国人の台湾観光が全面解禁されて以来、中国の旅行ブームを背景に台湾を訪れる中国人は年々増加。中国国家観光局によると、2009年に98万人余りだったが、13年には3倍近い約292万人まで膨らんだ。
復興航空は台湾の離島・澎湖島で昨年7月、乗客乗員48人が死亡する旅客機墜落事故を起こしている。(台北=鵜飼啓、北京=林望)
朝日新聞社
最終更新:2月4日(水)21時54分
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