軍事アナリストの菅原出(いずる)氏は「イスラム国は『売れる物は何でも売ろう』『使えるものは何でも使おう』というのが基本スタンスだ。後藤さんや湯川さんの遺体引き渡しの条件として何らかの要求を出してくる可能性は十分ある」と指摘する。
イスラム国は昨年8月、米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏を殺害する映像をネット上に公開。その際にも遺体をカネに換えようとした。
米メディアによると、トルコ国境地域で引き渡すことを条件に遺族や米国政府に100万ドル(約1億1700万円)を要求。取引を成功させるために事前に遺体のDNAサンプルを提供することも提案してきたという。
「イラクで活動するイスラム国以外の武装勢力も、昔から生きた人質だけでなく、遺体まで取引材料に使っていた。テログループの中ではよく知られた手法だ。ましてや相手は常識が通用しないイスラム国。何をやってもおかしくない。日常的に血生臭い殺し合いをし、斬った生首を並べたりする連中だ。われわれの価値観では推し量れない近代化する以前の中世を生きている人間を相手にしていると考えたほうがいい」(菅原氏)
人命を弄ぶ悪魔の所業。狂気の沙汰というほかない。