堀内康弘氏と一緒に行く「海外ハッカソンツアー」って何だ?~ビジネス出張サービス『Border』の新企画
2015/02/04公開
昨今、スタートアップの海外進出が目立っている。ただその際、事前調査や進出後の定期的な訪問など、海外出張が頻繁になりコストが肥大化することが課題の一つだろう。そんなビジネス出張のコストを減らすべくサービスを行っているのがBorderだ。
代表の細谷智規氏は、USでMBAを取得し、帰国後にBorderを設立。従来の旅行代理店機能をWebで代用し、旅行者とツアー・オペレーターが直接つながるプラットフォームを構築した。今まで発生していた業者間での手数料を削減することが狙いだ。また、Border設立の数カ月後にはハイヤーの配車サービス『Uber』と共同キャンペーンを行うなど、積極的な活動を行っている。
そんなBorderがTech系人材の海外進出を支援するための第一弾として「海外ハッカソンツアー」を企画(第一弾の詳細は記事末尾にて)。元AWSのエバンジェリストで、現在はマネーフォワード、Libなどの外部CTOを務める堀内康弘氏がオブザーバーとして参加することが決定した。
AWSの起業家向けセミナーで出会い、グローバルな舞台に知見を持つ2人がなぜ、海外ハッカソンツアーを企画したのか。そして、国内ではなく、敢えて海外のハッカソンに参戦する魅力とは何か。海外ハッカソンツアーについて2人はこう語る。
グローバル化を目指す人材に、海外での実体験を提供したい
細谷氏が今回の企画に至ったポイントは以下の2つだと言う。
【1】Borderに関心を持った企業はTech系スタートアップが中心だった
【2】英語を学ぶだけでは通用しない壁を感じた実体験
まず細谷氏は、【1】について理由を次のように語る。
「Tech系企業のスタートアップを中心にシンガポールやサンフランシスコなど進出に向けて海外出張が発生しているものの、出張手配に慣れない方が担当しているケースが多く、Borderに強い興味をお持ちいただけました。そこで、もう一歩踏み込みこんで支援がしたいと考えたのです」
MBA取得のため海外挑戦をした際の経験が、そのアイデアを確信に変えたという。
「渡米前にTOEIC900点クラスの英語力を身に付けていましたが、MBAのグループワークでは全くバリューを発揮できませんでした。当然、日本人同士の阿吽の呼吸も通じない世界です。会議のスピードも違うし、文法も学んだものとは少々ニュアンスが異なる。そこで英語は国内で学んだからといって、すぐに上質なコミュニケーションがとれるものではないことを学びました。こうした経験から、これから海外を目指す方やグローバルな人材と切磋琢磨するフィールドにいる方に、その橋渡しのような場所を提供したいと考えたのです」
スタートアップが抱える課題の一つであるヒューマンリソースに対し、コストと工数を同時に削減できるBorderのサービスは親和性が高い。そして、細谷氏が体感した、「現地でしか得られない経験」が海外ハッカソンツアー企画を誕生させた。
今回オブザーバーとして参加する堀内氏は、海外経験の重要性についてこう考えている。
「日本のエンジニアがグローバルに活躍できるような仕組みが生まれていくことは、とてもいいことです。私も英語がさほど得意ではないため、AWS時代に開催されていたエバンジェリストサミットで、通訳を介してしまうことなどにもどかしさを感じる機会は多くありました」
エンジニアは業務上、英語のドキュメントに目を通す機会は多い。しかし、読み、書きより上を目指してほしいという気持ちが堀内氏にはある。
「グローバル化の加速に伴い、多くの人と質の高いコミュニケーションを取れる英語力は、これから必須と言っても過言ではないと感じています。そのため、早めに解決した方が得策。できるだけ早い段階での海外経験をお勧めします。今回の海外ハッカソンツアーは海外の舞台に慣れるだけでなく、世界のエンジニアと触れ合うこと機会も得られるため、非常に良い体験ができるでしょう」
ツアーという特異性が新しい出会いを引き込み、濃い人間関係を生む
敢えて海外ハッカソンに参加するメリットはどこにあるのか。USで行われるAWS re:Inventツアーへの参加を企画していた堀内氏はこう考えている。
「僕はツアーという点がいいと思っています。ツアーという非日常的な空間を一緒に過ごすことで、参加者同士の濃いコミュニケーションが生まれる。ギュっと詰め込んだ時間を一緒に過ごした人って、太く長いつながりになっている気がします」
国内のハッカソンや名刺交換会ではなく、海外のハッカソンにツアーで共に挑戦する本企画ならではの人間関係が醸成されるはずと堀内氏は読んでいる。
「例えば帰国後に、海外ハッカソンツアーで知り合った仲間と起業するなんていうのも全然あり。AWSとプログラムがあればサービスを発信できる時代ですから。こうした場に足を運ぶアンテナの高いエンジニア同士が、将来的にどんな化学反応を起こすのかも楽しみです。私は応援側での参加となりますが、こうした海外ハッカソンに参加するのは初。腕試し感覚で多くの人に興味を持ってほしいですね」
これまでに縁がなかったエンジニア同士がチームを組み、一つの目標に向かって全力を投じる。擬似的な海外挑戦となる海外ハッカソンツアーには、所属している企業の垣根を越えた出会いがあると細谷氏は考えている。
「例えば、大企業で働いている方の中でも腕試しをしたいという方や、スタートアップで今の自分が海外でどれくらい通用するのか興味を持っている方など、多くの人に興味を持っていただけるツアーだと思っています」
ビジネス出張に特化したWebサービスは、アメリカ、国内でも類似サービスを見たことがないと細谷氏は語った。細谷氏のように日本を離れ、海外に足を踏み入れることで、国内では思いつかないような、新しいアイデアが生まれる可能性は十分にある。
見たことのない景色を見て、新しい仲間と互いを高め合う密な数日間を過ごす。海外志向を持つエンジニアは海外ハッカソンツアーで“武者修行”をしてみることも悪くないだろう。
海外ハッカソンツアーの詳細について
ツアー第一弾として参加者を募っているのは、USサンフランシスコで行われる『IoT World HACKATHON』。2015年5月11日(月)~5月15日(金)の3泊5日で参加する形となる。
■スケジュールに関して
2015年5月11日(月) 深夜(羽田発)→5月11日(月) 夕方(サンフランシスコ着)
2015年5月12日(火) – 5月13日 IoT World Hackathonに参加
2015年5月14日(木) 夜(サンフランシスコ発)→5月15日(金) 深夜(羽田着)
■利用予定航空会社・ホテルに関して
航空会社:ユナイテッド航空または日本航空(JAL)
ホテル:会場付近の3つ星クラスのホテル
■参加応募や旅費など詳細に関してはこちら
BorderのHPよりご確認ください
IoT Worldの紹介記事(日本語)
取材・文・撮影/伊藤健吾、川野優希(ともに編集部)
■関連の外部リンク