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【関西の議論】
「偏向報道には取材拒否」元リクルートの市長、メディアと全面対決…在京テレビ局の「謝罪」で怒り収まらず
「偏向報道」とみなした報道機関に抗議し、改善されない場合は取材を一切拒否する-。兵庫県西宮市の今村岳司市長(42)が記者会見で明らかにした方針が議論を呼んでいる。「偏向報道を受けての今後の報道対応について」と題された文書に対して、報道各社が一斉に大反発。今村市長は数日後、「偏向報道」「取材拒否」の文言を削除するとしたが、「あくまでも文言の変更で、趣旨は変わらない」と強気の態度は崩していない。専門家の間では、「立場がわかっていない」「一種の圧力」などと懸念の声も上がっている。
茶髪・ひげ・ピアス市議から転身…対決きっかけは「偏ったTV番組」
「偏向報道で市の政策推進に支障を来すことは断じてあってはならない」
今村市長は1月23日の定例会見で、市が「偏向」とみなす報道をした報道機関に抗議し、改善されない場合はその後の取材を一切拒否するとの方針を明らかにした。
きっかけは、同月15日に放送された番組だった。阪神大震災で自宅を失った被災者に市が提供する「借り上げ復興住宅」の返還期限をめぐる報道で、復興住宅を返還することを「自宅を奪われる」などと表現。市が住み替えの用の住宅あっせんや引っ越し費用の支給などをすることにはほとんど触れていなかった。
番組を見た市の担当者が「偏った報道」と上司に報告。今村市長も「市が一方的に入居者を追い出しているような内容」と判断した。市は番組を制作した在京テレビ局に抗議し、同局は23日に謝罪した。
だが、今村市長の怒りは収まらなかった。