サンタのビキニ姿でスキーをする女性たちの写真が複数の国営サイトに掲載された Feautrechina/RopiZuma Press

 中国のネット検閲当局は、国内のインターネットサイトに「前向きなエネルギー」を浸透させるキャンペーンの一環として、うわさや汚らわしい内容を広めたとする人気ポータルサイトを厳しく批判した。

 ただ、興味深いことに、政府自体のウェブサイトに掲載されている同様のコンテンツに対しては目をつむっている。

 中国のインターネット規制を監視する国家インターネット情報室(CAC)は2日夜、ウェブサイトに掲載した声明で、同国最大級のポータルサイト運営会社、網易(ネットイーズ)から数人を呼び出し、同社コンテンツの「方向性に関する深刻な問題」について話し合ったことを明らかにした。

 CACによると、ネットイーズは違法にニュースを掲載したり、うわさやポルノ素材の拡散を助けたりした。そうしたコンテンツを広めることは「通常のインターネット情報の秩序を破壊し、公共の利益に反している」という。

 CACはネットイーズのほか、インターネット大手の新浪(SINA)や検索大手の百度(バイドゥ)といった大手国内ネット企業とも協議し、コンテンツ関連の問題を指摘したという。3社はいずれも米国市場に上場している。

 ネットイーズに対する批判の背景には共産党のネット浄化キャンペーンがある。共産党は、中国のネットから好ましくない素材を削除するとともに、党が描く中国のビジョンを強化する「前向きさ」――アナリストによると、党の中国ビジョンを強化するコンテンツを示す言葉――を植え付けるための運動を展開している。

 ネットイーズ、SINA、バイドゥからのコメントは得られていない。CACはネットイーズ担当者の言葉を引用し、同社が指摘を深刻に受け止めており、「厳密に法律に従って新たなサービスを提供しながら前向きなエネルギーを広める」よう努める方針を示したと述べた。

 共産党のキャンペーンは大量のコンテンツを洗い流してきたが、政府自体のニュースポータルは前向き度テストに落第しそうなコンテンツを掲載する傾向にもかかわらず、ほぼ無傷で切り抜けているようだ。

 国営メディアの従業員が当ブログに語ったところによると、各国営メディアのウェブサイトは利益を出す必要に迫られているわけではないが、互いの閲覧数争いは激しい。そのため、ポルノではないにしろ疑わしい内容の、クリックを誘発する「釣り記事」に走りがちであり、その傾向は時に不快なほどだという。

 例えば2012年、国営の中国新聞社は江南スタイル人気を証明しようとするかのように、河南省の美人コンテストでビキニ姿の女性たちが踊っているスライドショーを掲載した。昨年12月には、やはり国営の中国日報その他政府系のウェブサイトが赤いビキニとサンタ帽でスキーをする女性たちの写真を載せた。学生たちの反クリスマス運動には心動かされなかったようだ。

 もっと巧妙なケースもある。共産党機関紙の人民日報は危険な入浴についての見出しを冠し、写真を多用した記事を掲載した。共産党第18回全国代表大会(党大会)会場で撮影した女性の「美しい風景」を集めたスライドショーを載せたこともある。

 2日の声明では、具体的にネットイーズのどのコンテンツが批判の対象になったのかは明らかにされなかった。CACは、国営ウェブサイトのそうしたコンテンツ掲載に関する質問に回答していない。

 CACは1月半ば、ウェブサイトやインスタント・メッセージ・サービスのアカウント50件を閉鎖したことを明らかにした。ポルノを拡散させたり、許可なく政治ニュースを掲載したりといった違反のためだという。1週間後には「歴史の歪曲(わいきょく)」と「社会主義の中核的価値への不服従」を理由に微信(ウィーチャット)のパブリックアカウント133件を閉鎖したと発表した。これに対しては、異なる政治的意見を抑えるための措置との批判が出ている。

関連記事