ここから本文です

「イスラム国」とアルカイダ、実は絶縁状態 なぜ分かれた?違いは?

withnews 1月23日(金)15時26分配信

 日本人の人質事件、フランスの週刊新聞襲撃など、テロが相次いでいます。人質事件は「イスラム国」、新聞襲撃はアルカイダで、それぞれ別の組織です。反欧米を掲げる2つの組織は、何が違うのでしょうか?

【動画】「地球の平和のために私の命を…」後藤さん母、世界に向けて涙の訴え

アルカイダ、ビンラディン容疑者が結成

 アルカイダは、元々、2001年9月の米同時多発テロの首謀者とされるサウジアラビア人のビンラディン容疑者が結成した国際テロ組織です。旧ソ連のアフガニスタン侵攻と戦うイスラム戦士を支援するために1988年ごろ結成されました。
 1991年の湾岸戦争で米軍がサウジアラビアに駐留すると、米同時多発テロにつながる対米聖戦に転換します。2011年5月にパキスタンで米軍特殊部隊の攻撃でビンラディン容疑者は死亡し、ナンバー2だったエジプト人のザワヒリ容疑者が最高指導者になりました。
 ザワヒリ容疑者はインターネットなどを通じて声明を発表、世界中のアルカイダ系組織やシンパに対し、依然影響力があるとされています。

アルカイダ系組織、新聞社襲撃への関与主張

 スンニ派の国際テロ組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」は、フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃への関与を主張しています。事件への関与を認める声明をユーチューブで発表。AFP通信によると、預言者を風刺したことへの報復として襲撃したとし、国際テロ組織アルカイダの指導者ザワヒリ容疑者の指示だとしています。

「イスラム国」、元々はアルカイダ系勢力から生まれたけど・・・

 「イスラム国」は、アルカイダ系などのスンニ派過激派勢力が2006年に合流した旧イラク・イスラム国(ISI)が前身です。米軍の掃討作戦でいったん弱体化しましたが、シリア内戦の間に組織として勢いを取り戻します。指導者アブバクル・バグダディ容疑者は昨年6月、預言者ムハンマドの後継者たるカリフを名乗り、イスラム国家の樹立を一方的に宣言しました。

「イスラム国」とアルカイダ、絶縁状態

 「イスラム国」と「シャルリー・エブド」襲撃で浮上した「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」は、国際テロ組織アルカイダの流れをくむ点では同じですが、実は絶縁状態にあります。
 2011年に始まったシリア内戦では、当初、アルカイダ系組織と協力してアサド政権と戦いました。しかし、残虐行為を繰り返す「イスラム国」にアルカイダ指導部が反発。バグダディ容疑者がカリフを名乗り、世界のイスラム教徒に対して自らに「忠誠」を誓うよう求めたことで関係悪化が決定的となりました。
 「イスラム国」がアルカイダに先んじてカリフ擁立を宣言した背景には、資金集めや戦闘員の勧誘をアルカイダより有利に進める意図があったとみられています。

前へ12
2ページ中1ページ目を表示

最終更新:1月24日(土)10時46分

withnews

 

PR