村上さん、こんにちは。
いつも小説を楽しく読ませていただいています。

ぼくには今、お付き合いをしている彼女がいます。その彼女とは遠距離恋愛中です。ぼくが千葉に住んでいて、彼女は熊本に住んでいます。すぐには会えない環境からか、彼女とは電話だけではなく、手紙のやりとりをしています。ですが、ぼくには文才がないので、うまく手紙が書けません。
言いたいことはなかなか言えないし、感動したことを伝えようと思っても、適切な言葉が浮かんできません。村上さんのような文章を書けたら、彼女にもっと喜んでもらえるのにと何度も考えてしまいます。

そこで、手紙のコツのようなものがあれば、教えていただけないでしょうか。

最後になりましたが、ここまで、メールを読んでいただき、ありがとうございます。
これからも村上さんの作品を楽しみにしています。
（ikuta、男性、28歳、会社員）

手紙を書くコツは、日頃から話題をためておくことです。面白そうな話題をいくつかストックしておいて、それを選んで並べる。でもだらだらした文章はだめです。コンパクトにまとめる。慣れないうちはむずかしいと思いますが、すべては訓練です。うちの奥さんは僕と結婚した理由をきかれて、「手紙がどれもすごく面白かったから」と答えていました。きみもがんばってください。大事なのは、うまい手紙を書こうと思わないことです。相手をにこにこさせちゃうような手紙を書こう。

村上春樹拝