ピケティ氏の理論を都合よく“編集”した言説にはご注意を (1/2ページ)

2015.02.04

 フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の著書「21世紀の資本」が大ヒットし、本人も来日するなど話題になっている。一方で、氏の理論を“錦の御旗”のように利用しようとしたり、その主張を曲解しているような論調も目につく。

 ある経済誌のピケティ氏へのインタビューでは、「日本は金融政策に頼りがちで、アベノミクスは資産バブルを誘発している」という趣旨の質問に対し、ピケティ氏は「そのやり方は間違いだ。われわれは税務政策に比べ、金融政策に対してあまりに高い期待を持っている」などと答えたとしている。これを読むとピケティ氏はアベノミクスや金融政策に否定的だという印象を受ける。国会でも、同種の質問が出ている。

 しかし、ピケティ氏の著書を読むと、2%のインフレ目標に関連した記述はあるが、そこではインフレ目標を評価こそすれ、決して否定的ではない。

 なぜ、このような不思議なことが起こるのだろうか。もしかしたら、格差の是正策として「資産に対する課税」と「インフレ」のどちらが優れているかを尋ね、その答えをアベノミクスの金融政策批判として「編集」しているのではないだろうか。

 ピケティ氏が、格差是正策として、インフレも効果があるとしながら、資産課税の方が精緻で優れていると考えているのは事実だ。だから、格差是正策について聞かれれば、金融政策によるインフレを否定し、資産課税を推奨するだろう。そこで、この否定部分だけを取り出せば、アベノミクスや金融政策を批判しているような文面にはなる。

 ピケティ氏はマクロ経済政策としての金融政策を批判しているのではないはずだ。実際に、別の経済紙のインタビューでは、ピケティ氏はアベノミクスを評価している。

 

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