環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に反対する署名に参加した人は欧州側で100万人を超えた。ユーガブによる英国での世論調査によれば、TTIPでは英国に利点が「ない」と考えた人の数が「ある」という回答の3倍に達した。
米国と欧州連合(EU)の間で交渉中のTTIPは、北大西洋に自由貿易地域を設けようという野心的な試みだ。関税撤廃や規制統合を含み、カリフォルニア州からクロアチアまでの範囲で企業は競争できるようになるかもしれない(製品の移動も自由になる可能性がある)。私はこの協定に賛成するが、反対する人の言い分にも一理ある。
交渉の主な舞台であるブリュッセルとワシントンはロビー活動の本場だ。大企業が豪華なレストランで大金を使う。交渉のプロセスの透明性をもっと高めないと、TTIPは大企業を利する内容が多いという広く行き渡った主張に反論することが難しくなる。技術革新を起こすためでなく、訴訟を許可する証書に成り下がりつつある米国流の著作権の採用に欧州が傾いているという個別の指摘にも言い返すことができない。
欧州における「民主主義の欠損」が問題を深刻にしている。「民主主義の欠損」とは国家レベルでの議会のような場で法的な側面からきちんと議論された結果としての信用が損なわれている状態を指す。欧州委員会(EC)は最近、係争点の残る複数の分野について欧州側の立場を示した文書を公開した。
■ISDS条項への懸念
TTIPについてよく指摘される懸念のうち大事な部分は「投資家と国家の間の紛争解決(ISDS)」という条項が盛り込まれる可能性だ。1980年代から、この条項を含むことが米国と発展段階で同国より低位の国との間で結ばれる通商協定の標準となり、ほかの先進国と新興国との2国間協定でも採用されてきた。ISDS条項とは、ある国の投資家が通商協定を締結した相手国によって資産を不当に没収されたと主張する場合、その紛争の裁きを国際的な法廷に委ねなければならないことを定めている。低所得国はしばしば独立した司法システムが欠ける一方、外国からの投資を少しでも早く必要とすることが多かった。このような国にとっては、国際的な仲裁に判断を任せることが、その場しのぎの政策や腐敗した政府から自国民や外資を守る一つの手段だった。
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