後藤健二さんの著書、日本でベストセラーに

ルワンダ、アフガンなど紛争地域の家族や子どもを描写

後藤健二さんの著書、日本でベストセラーに

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によって殺害された日本人ジャーナリスト、後藤健二さんが残した4冊の著書がベストセラーになっている。後藤さんを追悼する日本人たちが増えたことで、書店には特別コーナーが設けられ、出版社は増刷に踏み切った。

 後藤さんの著書は、紛争地域に足を踏み入れ、長期間にわたって住民たちと共に暮らしながら、子どもたちの苦痛について取材した成果という共通点がある。2005年に出版した『ダイヤモンドより平和がほしい』は、ダイヤモンドの採掘権をめぐって内戦が繰り広げられたアフリカ・シエラレオネの少年を取り上げた。12歳のときに目の前で父親を敵に殺され、少年兵として連行された後に脱出し、心の傷を癒していく少年の物語だ。

 『エイズの村に生まれて』(2007年)は、麻薬によるエイズへの感染者が住民の9割を占めるエストニアの村で、エイズに感染した16歳のシングルマザーが、絶望を乗り越え、子どもを生み育てる過程をつづった。『ルワンダの祈り』(08年)は、数十万人が虐殺されたルワンダ内戦のさなか、温かい家族愛によって絶望的な状況を乗り越えた家族の物語だ。『もしも学校に行けたら』(09年)は、内戦のため学校にも行くことのできないアフガニスタンの少女が主人公だ。

 紛争地域の問題を取り上げた著書だが、暴力について直接描写することはなく、子どもを中心とする家族のエピソードを通じ、戦争がつくり出す悲劇を伝えようとしている。後藤さんの著書は「児童書」に分類されているが、大人たちもインターネット上で「後藤さんが命を懸けて紛争地域に足を踏み入れた理由が分かる気がする」という書評を寄せた。

 後藤さんの著書には、まるで遺書を残すかのように、家族に対する愛情もつづられている。「(紛争地域の取材で)常に不安を覚えながらも、自分に勇気を与えてくれる家族に心から感謝の言葉を伝えたい」「愛する娘、そして娘に芸術や文化を楽しめる心を育んでいるママにありがとうと言いたい」

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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