日本たばこ産業(JT)は4日、9月末をめどに飲料製品の製造・販売事業から撤退すると発表した。子会社を通じて自動販売機の運用は続ける。今後は主力のたばこ事業の競争力強化に投資を優先させる。
同社は4日午後4時半から記者会見を開き、大久保憲朗副社長が撤退の理由について「飲料市場全体が成熟し、積極的な販促や短期サイクルでの商品開発が不可欠になるなど競争が厳しくなった。今後JTグループの成長に貢献していくことは困難だと判断した」と説明した。他社への事業売却については「シナジー効果のある事業譲渡は見込めなかった」として撤退を決めた。
同社は1988年に製造会社を設立して飲料事業に参入し、清涼飲料水「桃の天然水」や缶コーヒー「ルーツ」などのブランドを持つ。これらのブランド譲渡は今後検討する。
2014年3月期の飲料の製造・販売事業の売り上げは約500億円だった。自販機では強みがある一方、コカ・コーラグループやサントリー食品インターナショナルなど上位企業とのシェアの差は大きい。
JTは飲料製品の直営工場を持たず、すべて委託製造している。JT飲料事業部の109人はJTグループ内で配置転換し、子会社のジェイティ飲料の119人はJTへの再雇用などを検討する。
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