ヨルダン軍操縦士焼殺か　「イスラム国」新画像「１月３日死亡」と報道

「イスラム国」に拘束されているヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ中尉の写真を持つカサスベ中尉の母親（ＡＰ） Photo By ＡＰ

　過激派「イスラム国」を名乗るグループは３日午後（日本時間４日未明）、拘束中のヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉（２６）を殺害したとする映像をインターネット上で公開した。ロイター通信によると、ヨルダン軍高官は３日、中尉が殺害されたと家族に伝えた。中尉はおりの中で生きたまま火を付けられたという。

　ヨルダン国営テレビは３日、中尉は「１月３日」に殺害されたとみられると報じた。事実とすれば、ヨルダン政府が収監中の女、サジダ・リシャウィ死刑囚の釈放と引き換えに、中尉やフリージャーナリスト後藤健二さん（４７）＝仙台市出身＝の解放を模索していた際、中尉は既に死亡していたことになる。米国訪問中のアブドラ国王は滞在を切り上げ、予定より早く帰国することを決めた。

　イスラム国は１月３１日（同２月１日）、湯川遥菜さん（４２）に続き、後藤さんを殺害したとする映像声明をネット上で公開した。邦人人質事件は、日本と連携して後藤さんの解放交渉に当たったヨルダンを巻き込み、凄惨な展開をたどった。

　オバマ米大統領は３日「（焼殺が）事実ならイスラム国の残虐性をあらためて示すものだ」とした上で、イスラム国打倒に向け「有志国連合の決意を一段と強化することになる」と述べた。

　ヨルダン軍によると、中尉は昨年１２月、シリア北部でイスラム国に対する空爆作戦中に戦闘機が墜落、拘束された。ヨルダン政府はイスラム国が中尉を解放すれば、リシャウィ死刑囚を釈放する用意があると表明。中尉の生存確認の証拠を求めていた。

　邦人人質事件の犯人側は１月２０日のビデオ声明で、後藤さんと湯川さんの殺害を予告し、身代金２億ドル（約２３５億円）を要求。２４日には湯川さん殺害を表明した上で身代金要求を撤回、死刑囚釈放を要求した。２９日、死刑囚を日没までにトルコ国境に移送しなければ、後藤さんと中尉を殺害すると脅迫した。（共同）