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» 2015年02月04日 08時41分 UPDATE

学生追いつめる「ブラックバイト」凄惨実態 それでも辞められぬ“3つの理由” (1/4)

シフトにはない突然の勤務命令、長時間労働でも支払われない残業代――学生アルバイトで近年、こんな被害が相次いでいる。その背景は。

[産経新聞]
産経新聞

 シフトにはない突然の勤務命令、長時間労働でも支払われない残業代−。学生アルバイトで近年、こんな被害が相次いでいる。大学ではゼミが成り立たず、試験に出席できないなどの実害も出ているが「簡単には辞められない」のが特徴だという。これらを総称して生まれた言葉が「ブラックバイト」。背景には非正規雇用が常態化したことなどがあるが、専門家は「『学べぬ学生』が大量に世に出れば、日本経済の崩壊にもつながりかねない」と懸念する。

シフト外なのに「塾長」から電話が…

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 東京都内に住む大学2年の女子学生(21)は昨秋から、個別指導塾で講師のアルバイトを始めた。求人では90分1授業で給与が1600円〜2300円。割の良さで決めたはずだった。

 だが、働き始めると、実態は大きく違った。授業の1時間前からテキストの作成、授業後は生徒個人の「報告書」の作成が必要で、2時間はかかる。生徒への年賀状や教室の掃除も担当させられ、残業代は一切出ない。時給を計算すると、東京都の最低賃金(888円)を下回った。平均3〜4人の生徒を教えるはずが、「人手不足」を理由にアルバイト講師6人で50人以上の生徒を教える日もあり、帰宅が深夜になることも多くなった。

 最近では、教室で唯一の社員である「塾長」から、携帯に電話がかかってくるようになった。「悪いけど明日、入って」。シフト外で契約とは異なる教室で教えるよう、突然、指示が来るのだという。「講師をギリギリで回しているのを知っているので、断りにくい」と、女子学生は大学の授業がある時間でもアルバイトを優先するようになった。現在のシフトは週2日だが、これから増やされる不安もある。

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