Updated: Tokyo  2015/02/04 16:59  |  New York  2015/02/04 02:59  |  London  2015/02/04 07:59
 

ソニー:今期業績上方修正、純損失1700億円に縮小-デバイス好調 (1)

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  (ブルームバーグ):構造改革を進めるソニー は、今期(2015年3月期)の純損失が1700億円に縮小するとの見通しを示した。イメージセンサーを含むデバイス事業や金融事業などが好調だった。

ブルームバーグがまとめたアナリスト17人の純損益予想は1795億円の赤字だった。会社の従来予想は2300億円の純損失だった。昨年10-12月決算は米映画子会社へのハッカー攻撃の影響で同部門の財務集計が遅れ、暫定値での発表となった。同3カ月間の純利益は前年同期比3.4倍の890億円、営業利益は同約2倍の1783億円となった。

スマートフォンのカメラ用センサーの販売が好調だったほか、金融事業が伸び、年末商戦でゲーム機販売が堅調だった。テレビ事業は台数を追わずに利益を重視する戦略が一定の成果を収めた。

野村証券の岡崎優アナリストは決算前の取材で「もともとの会社計画はかなり慎重で、ここまでの進捗(ちょく)は悪くない」と述べた。「北米市場ではゲームに限らずテレビも10-12月期は良かった」と話した。

決算会見で吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は「比較的堅調だった第3四半期を踏まえ、今期業績予想を上方修正した」と述べるとともに、「過去7年間に15回の業績の下方修正していたこともあり、保守的に業績を策定していた」と説明した。

ハッカー攻撃の影響

昨年11月のソニー映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対するサイバー攻撃で財務システムにまで被害が発生、この日は暫定値での決算発表になった。同攻撃で未公開映画の映像や従業員の個人情報、映画事業の責任者の電子メールのやり取りなどが流出し、コメディ映画「ザ・インタビュー」の上映も妨害を受けた。

10-12月の業績を部門別に見ると、デバイス分野が545億円の営業利益を計上、前年同期の赤字から黒字転換した。ゲーム分野の営業利益は前年同期比1.2倍の276億円、テレビを含むホームエンタテインメント分野は253億円の営業益を計上した。このうちテレビの売上高は販売台数の増加や為替の好影響で前年同期比約10%増となった。

スマートフォンのカメラなどに使われる積層型CMOSイメージセンサーに関してソニーは、需要好調を受けて生産能力を約3割増強するため、15年度に1050億円の設備投資を実施することを明らかにした。モバイル機器向けの需要拡大を見込んでいる。

モバイル分野は製品ミックスの改善や円安の影響で前年同期比増収増益となったが、経営目標達成に向け、15年度末までに合計で約2100人を削減するなどの構造改革計画を実施する。決算資料によると、スマートフォンの今期の販売目標台数を3920万台(10月時点で4100万台)に見直した。

液晶テレビ事業は今期の販売目標台数を1450万台と従来目標と同水準に据え置いた。ソニーは1月に米ラスベガスで開かれた国際家電見本市(CES)でグーグル社のアンドロイドOSを搭載した新しいコンセプトの高精細テレビを披露し、15年に商品発売する予定だとした。

「プレイステーション(PS)4」など据置型ゲーム機については、今期販売目標を1750万台(従来1700万台)に上方修正した。

第4四半期の前提為替レートは対ドルで約118円前後(従来110円前後)、対ユーロで約133円前後(従来138円前後)とした。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 黄恂恂 xhuang66@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 中川寛之, 上野英治郎

更新日時: 2015/02/04 16:34 JST

 
 
 
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