■アップデートを避けるには専門的な知識が必要
さて、それでは、ビルド600系へのアップデートを避ける方法はあるのだろうか。
あるにはあるのだが、コンピューターについてそれなりの専門知識が必要になり、残念ながら万人に薦められる方法は今のところ見当たらない。MT4を起動させると、自動的にアップデートされてしまうケースが多いことだろう。
【参考情報:筆者が自動アップデートを避けている方法】
参考になるかわからないが、筆者の場合はMT4の自動アップデートがかかる前に「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが立ち上がるため、アップデートを避けられている。
MT4を起動すると、「次のプログラムにこのコンピューターの変更を許可しますか」と尋ねるウィンドウが出るので、ここで「いいえ」を選ぶと、アップデートを避けてビルド509のまま、MT4が使えるのだ。
ちなみに筆者は「管理者」ではないユーザーとしてWindows 7にログインしており、このため、「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが立ち上がるのかもしれない。
このウィンドウが立ち上がらず、強制的にアップデートがかかる人も多いようなので、以上はあくまでも参考程度の情報だ。もしも、このウィンドウが立ち上がって、ビルド509のままで使いたいのなら「いいえ」を選択しよう。
■ビルド600系をビルド509に戻すなど各種の対処法は?
【アップデートしたが、ビルド509に戻したい人】
MT4の開発元であるメタクオーツ社が認めた公式なダウングレード方法はない。
ただ、インターネットを検索すると、同じように困っている人のためにビルド509のファイルを配布している人もいる。
そのファイルでビルド600系のファイルを上書きしてしまえばいいのだが、その場合は自己責任で。くれぐれも配布元の信頼性の確認、ウィルスのチェックなどを入念にやってほしい。また、EAやカスタム・インディケーター、定型チャートのファイルのバックアップも忘れずに。
【アップデートがかからない人】
2月3日(月)以降にMT4を起動させると、本来ならば自動的にアップデートがかかるはずなのだが、少なからぬ人がアップデートされずにビルド509のまま使えているようだ。アップデートは以下の方法でいつでもできるから、むしろ幸運と考えて、当面そのまま使い続けるのが良さそうだ。
【アップデートがかからないけど、ビルド600系に移行したい人】
自動アップデートがかからないときは、使っているFX会社のホームページから新たにMT4のインストーラーをダウンロードして、インストールし直すのが手っ取り早い。
そのときは念のため、EAやカスタム・インディケーター、定型チャートのバックアップをとっておこう。
また、ビルド509がインストールされているフォルダに、ビルド600系を「上書きインストール」する方法もあるようだ。
■ビルド509のファイル構成のまま使える「ポータブルモード」
ビルド600系でもEAやインディケーターの収納場所を以前と同じようにしたいなら、ビルド509と同じファイル構成で使える、一時しのぎの方法がある。「ポータブルモード」だ。その手順は以下のとおり。
(1)MT4の実行ファイルである「terminal.exe」のショートカットを作る
(2)ショートカットのアイコンを右クリックしてプロパティを開き、「ショートカット」のタブを選択
(3)リンク先の末尾に「 /portable」(半角スペース・スラッシュ・portable)を加える
(4)「適用」をクリックして、プロパティウィンドウを閉じる
ビルド600系でも、このショートカットからMT4を開くことで、ビルド509と同じファイル構成でMT4が使える。ただ、このポータブルモードは過渡期的処置のようなので、あまりアテにしないほうが良さそうだ。
■誰のためのアップデートなのか?
なんともやっかいなビルド600系問題だが、メタクオーツ社からの情報発信は少ないし、あっても英語だったりして、なかなか情報がとりにくい。
そんななかで参考になりそうなのが、元為替ディーラーの山中康司さんがFOREX.com Japanで行なっているセミナー。次回、2月27日(木)のセミナーはビルド600系がテーマなのでご参考に。
それにしても混乱が深まるばかりのビルド600系問題。いったい何のためのアップデートなのだろうか――。山中さんは「思うように普及が進まないメタトレーダー5(MT5)とMT4を融合させていくための足がかりとしてのアップデートなのでは…」と推測する。
MT4の後継となるMT5はすでに発表されているが、プログラム言語の違いからあまり普及していない。
「だったら、MT4をMT5に近づけちゃえ」とばかりに敢行したのが今回のアップデートなのかも。いずれにせよ、早く解決してほしいビルド600系問題だ。
なお、本記事は現時点で判明している情報を可能な限り集め、実際に各種のPCを動かした上で作成しているが、各種のPCでMT4が必ずしも同じ動作をしないこともあった。ウィンドウズのバージョン、その他、環境の違いにより、そのようなことが起こっていると思われるが、詳細はよくわからない。
また今後、MT4の新たなバージョンアップが行われることで、その動作が本記事の記述と変わってくる可能性もある。そのあたりはご了承ください。
(取材・文/ミドルマン・高城泰&ザイFX!編集部)
本記事公開後、メタトレーダー(MT4)の開発元であるMetaQuotes Software社から、2014年8月1日(金)以降、ビルド509など、ビルド600以前のバージョンはサポートを終了する予定との発表がありました。8月1日(金)以降はビルド509のメタトレーダー(MT4)は使えなくなる見込みです。ビルド600系へまだバージョンアップしていない方は、早めにバージョンアップすることをおすすめいたします(2014年6月17日、ザイFX!編集部)