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[FT]日本、テロへ「孤立」で応えてはならぬ(社説)

2015/2/4 7:00
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 イスラム過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」による日本人2人の殺害は、ISISの残忍性と人間の品性への侮辱を表す最新の事例だ。だが、殺害事件には特別な意味もある。平和主義の過去を捨てて、国際的により積極的な役割を担おうとしている日本に与える影響だ。

キャンドルをともし、殺害された2人の日本人へ哀悼の意を表すヨルダンの人々(2日、アンマン)=ロイター
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キャンドルをともし、殺害された2人の日本人へ哀悼の意を表すヨルダンの人々(2日、アンマン)=ロイター

 保守派の安倍晋三首相は2年前に政権を握って以来、特に強硬姿勢を強める中国を前にして、日本の防衛態勢を強固にしようとしてきた。首相は、攻撃された同盟国を日本が支援することを禁じる日本国憲法の解釈を変えたいと思っている。より広い意味では、日本を国際舞台における外交的中立国として打ち出す原則を終わらせたいと考えている。

 ジャーナリストの後藤健二さん、湯川遥菜さんという2人の人質の殺害は日本国民に衝撃を与え、さまざまな反応を引き起こした。一部の人は今回の殺害事件を、テロに対して日本がより目に見える形で自国を守る必要があることを示すシグナルと見なす。一方で、この殺害事件を日本が外国の冒険に巻き込まれるのを避ける理由と見なし、日本政府は孤立主義の性格を保つべきだと訴える人もいる。

 賞賛すべきことに、安倍首相は殺害事件に慎重な反応を示した。「テロリストに罪を償わせる」と約束しながら、急激な政策変更を推し進めることはせず、ISISと戦う連合軍への後方支援さえも提供しないと強調した。

 それでも、安倍首相にとってはリスクがある。最大のリスクが、人質危機への首相の対応が、日本は受動的な国際的役割を維持すべきだとする意見をあおる可能性があることだ。人質が拘束された数週間後、安倍首相はISISと戦う国々への2億ドルの人道支援を表明した。批判的な向きは、この行動のタイミングは人質の窮状を悪化させた判断ミスであり、日本が世界的な存在感を高める努力をやめるべきであることを証明していると言う。

■制約は取り除けるはず

 政府関係者から受けた助言については、安倍首相は答えるべき疑問があるかもしれない。しかし、ここ数週間の出来事が首相の憲法改正計画を損なってはならない。

 日本の憲法は現在、あまりに制約が厳しく、同盟国が攻撃を受けた場合に日本が支援することを禁じている。日本は、例えば、米国領土に向かって飛んでいるミサイルを撃ち落とすことができない。また、日本の自衛隊は、平和維持活動で砲火を浴びた時に同盟国の部隊を守ることもできない。日本の受動的な軍事的役割を根本的に変えることなくこのような制約は取り除けるはずだ。

 後藤さんと湯川さんの殺害は、どれほど平和主義的な文化を持っていても、どんな国民もイスラム過激派の心ない暴力から免れないことを明白に示す。現時点での日本の対応は、新たな孤立ではなく、国際的な関与に根差すものでなければならない。

(2015年2月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(翻訳協力 JBpress)

(c) The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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