ウォール街に響く「ドル、ドル」の声-業績悪化の犯人捜しで
(ブルームバーグ):「ウォール街はエコーチェンバー(反響室)だ。それで頭痛になることもある」--ドイツ銀行の米国株ストラテジスト、デービッド・ビアンコ氏がこのように顧客に語った。
それについて異論はない。もしそう思わないなら、ここ数日間にまとめられたさまざまな調査リポートの抜粋を見ればよい。一連の企業決算で実績や見通しが市場予想を下回った原因はドル高にあるというものだ。以下はその一部だが、鎮痛剤を飲んでから読んだほうがよいだろう。
ウェルズ・ファーゴ:「決算シーズン序盤の数週間、ドル 高の文字が見出しを独占した。予想されるドル高で米経済と収益の伸びが持続するかどうかについて観測が飛び交っている」
ゴールドマン・サックス:「あらゆる投資家が為替の影響を話題にしたがっている」
ドイツ銀行(同行に寄せられたリクエストを挙げ):「為替の影響がなく、銀行やエネルギー関連でもないS&P500種構成銘柄のリストがほしい」
ゴールドマンは利益よりも売上高の方がドル高の影響を受けるとみる。ヘッジや他通貨での海外経費支払いが、ドル高による最終利益への悪影響を抑えるためだ。ブルームバーグの集計データによると、決算シーズン 半ば時点でS&P500種構成企業は0.4%減収、3.5%増益。
売上高の約3分の1を海外で稼ぐS&P500種企業はドル高で今後の増収率が3-5ポイント押し下げられる--。企業幹部のコメントがこのように示唆しているとゴールドマンのストラテジストは1月30日のリポートで指摘した。
驚異的な割合ドル高の影響は売上高にとどまるというわけでもない。ゴールドマンによれば、1-3月(第1四半期)の利益について企業が示した見通しが市場予想に届かなかった割合は87%と「驚異的な」水準で、34四半期で最高だ。
市場は予想される勝者と敗者を既に選別している。ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムズ氏の分析では、海外売り上げへの依存度が最も高い企業の株価下落は収益予想の引き下げよりもペースが速かった。
同氏はドルよりも海外の経済成長率の変化の方が企業の売上高に大きな影響を与えてきたと指摘。このため、「ヘッドラインが示唆するほど見通しは悲惨なものではないだろう」とリポートで記している。
頭痛は治まっただろうか。
原題:Wall St. Echo Chamber Yelling ‘Dollar, Dollar, Dollar’ at Stocks(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael P. Regan mregan12@bloomberg.net
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更新日時: 2015/02/04 13:28 JST