ガス導管分離:法案提出へ 政府・与党最終調整

毎日新聞 2015年02月04日 07時30分

 政府・与党は3日、2021年までに都市ガス大手3社のガス導管部門を別会社に分離する「法的分離」を実施するため、ガス事業法の改正案を今国会に提出する方向で最終調整に入った。電力大手の送配電部門を20年までに別会社化する「発送電分離」法案と一括で提出する。都市ガスの小売り全面自由化が17年に実施されるのを受け、ガス導管を事業者が公平に利用できるようにして、競争促進やサービス向上を促す。

 都市ガス会社は、都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の基地から、家庭や企業を結ぶガス導管を運営している。小売り自由化後、新規参入企業のガス導管の利用料が不当に高く設定されれば、新規参入が進まない懸念があった。

 ガス事業者は「緊急時の安全性に懸念がある」などと分離に反対していたが、政府・与党は、ガス導管の利用の公平性を十分確保する必要があると判断した。電力システム改革と都市ガス改革の歩調を合わせて、電力とガスの業界間の競争を促進する狙いもある。

 ただ、全国のガス事業者200社の約8割が従業員100人以下で、導管事業を別会社に分離すると、事業規模に比べてコスト負担が過大になる。このため、法的分離の対象を都市ガス販売の全国シェアの約7割を占める東京、大阪、東邦の大手3社に限定する。

 ガス導管の法的分離を検討していた経済産業省の有識者委員会は、1月にまとめた報告書で「災害時の保安体制の確保に懸念がある」などとして法的分離の是非の判断を見送っていた。【中井正裕】

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