韓国の福祉予算が9年で倍増、財政を圧迫

基礎年金・無償保育で「雪だるま」式に増加
専門家ら「増税なき福祉では財政破綻を免れ難い」

 韓国の福祉予算は、2014年度に初めて100兆ウォン(現在のレートで約10兆6500億円、以下同じ)を突破した。15年度の福祉予算は115兆7000億ウォン(約12兆3300億円)。06年度の時点では56兆ウォン(約5兆9700億円)だったが、9年で倍になった。15年度予算の総額375兆4000億ウォン(約40兆円)の30%を占める。福祉予算は、今後も急速に増える可能性が高い。

 65歳以上の高齢者に毎月最大20万ウォン(約2万1300円)を支給する基礎年金として、15年度予算では10兆ウォン(約1兆700億円)が投じられる。12年度の4兆ウォン(約4300億円)から、2.5倍に増えた。さらに、高齢化の急速な進行に伴って30年度には年間50兆ウォン(約5兆3300億円)、40年度には年間100兆ウォンになると推定されている。保育料・養育手当など無償保育関連の予算も、12年度の6兆5596億ウォン(約7000億円)から、15年度は10兆2256億ウォン(約1兆900億円)に増えた。12年度の時点では1兆9450億ウォン(約2100億円)だった無償給食予算も、15年度は2兆6000億ウォン(約2800億円)に増えた。大統領選の公約だった大学生の学費半額化の予算は、同じく12年度の1兆9239億ウォン(約2000億円)から15年度は3兆9120億ウォン(約4200億円)へと、約2兆ウォン(約2100億円)増えた。

 これに対し税収の不足額は、12年度の2兆8000億ウォン(約3000億円)から、13年度は8兆5000億ウォン(約9100億円)に増え、さらに14年度は11兆1000億ウォン(約1兆1800億円)と史上初めて10兆ウォンを上回った。韓国政府は、税収不足を補うため、昨年末にたばこ価格を2000ウォン(約213円)引き上げた。さらに税収拡大のため、年末調整を所得控除方式から税額控除方式に改めたが、サラリーマン層の抵抗に直面した。

 韓国政府は今年も、少なくとも3兆ウォン(約3200億円)以上の税収不足があると推定している。専門家らは「『増税なき福祉』という実現不可能な政策基調を改めない限り、(朴槿恵〈パク・クンヘ〉大統領が主張してきた)非課税減免の縮小と地下経済のあぶり出しだけでは財政破綻は免れ難い」という見方を示した。

アン・ジュンホ記者
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