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下火になったと言われる韓流ドラマだが、今でもBS放送で多数放映されるなど根強いファンは多い。冬のソナタがブームになってから、人気が10年続いたワケとは何か。自身も韓流ドラマウオッチャーで、韓国事情に詳しい東洋大学の松本誠一教授に聞いた。

(聞き手は宮澤 徹)

「冬のソナタ」から10年、いま「韓流」を考える、という講演をされているそうですね。

松本 誠一(まつもと・せいいち)氏
1973年東洋大学社会学部卒、1979年東洋大学非常勤講師、1983年(韓国)慶熙大学校専任講師、1988年東洋大学助教授、1995年東洋大学教授、2014年東洋大学アジア文化研究所所長。

松本:私と韓流ドラマの出会いは冬のソナタでした。2004年ころ、家内に勧められて見始めると、そのまま引き込まれてしまったんです。毎回涙が止まりませんでした。内容だけでなく、これまでの韓国のイメージを覆され、何か自分の知らない韓国文化を勉強しているみたいな気持ちにさせられたことも大きかった。

 私はずっと韓国の研究をやっていて、韓国人とはこういう人たちだ、というイメージがありました。ですが、あのドラマに出てくる人たちは全然それとは違うんです。もともと韓国の人は隠し事が苦手で、言いたいことをどんどん言う人が多いと思っていました。だけど冬のソナタでは、そこで何か言わなきゃだめだろうというときに、登場人物が何も言わず、ずっと黙っているんです。

確かに、はっきり言えばいいのに、という時に黙っていますよね。それで事態が悪い方へと展開して、目が離せなくなっていく。ところで、今はどんな韓流ドラマを見ているのですか。

松本:私が今見ているのは時代劇の『奇皇后』、そしてラブコメディの『清潭洞<チョンダムドン>アリス』。もう1つが恋愛物の『オーロラ姫』です。いずれも家内と一緒に見ています。

 韓流ドラマをみる際は、敵対するものたちの関係、そこに絡んでくる国際性、財閥一族など、どう描かれているか、リアリティはどこまでかなどに、関心があります。

かなり見ていますね。韓国研究の一環でもあるんですか。

松本:やっぱりドラマ自体が面白いからです。特に好きなのは諜報機関物です。ピストルを撃ち合うなど武闘物も見ます。家内はコメディーやラブロマンスが好きなようです。単にドラマを見るだけではありません。ギャンブラーの物語『オールイン』を2人で見終わったあとには、済州島のロケ地跡へ一緒に行きました。ロケ地観光が実際にどのように行われているのか、見るためです。

 夫婦参加組は私たちだけで、あとは母娘、あるいは婦人同士の連れの人たちで、他の参加者たちへのインタビューは、躊躇しました。ただ、耳に飛び込んでくるその人たちの会話は、ドラマ内容、俳優情報も幅広く、詳しく知っていることが窺えました

最近は下火になったと言われながらも、依然としてテレビのBS放送の番組表は、韓流ドラマだらけに見えます。それだけ需要があるということだと思いますが、一体どんな人が見ているのでしょうか。

松本:BS放送を中心に、週に100本以上はまだ放映されていると思います。韓流ドラマのブームは去り、もう人気がなくなったというような言われ方もします。確かにブームではなくなったかもしれませんが、確実に一つのジャンルとして根付いています。

 私が開いた韓流ドラマの講演会でも、以前は中高年の女性の参加が多かったのですが、今は男性の方が目立っています。それも、60、70歳代という高齢の方が目につきます。10年にわたって韓流ドラマが日本で見られてきた中で、ファン層が確実に広がっていると感じます。


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