PC遠隔操作:片山被告に懲役8年 東京地裁判決

毎日新聞 2015年02月04日 10時08分(最終更新 02月04日 11時56分)

 パソコン(PC)の遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社員、片山祐輔被告(32)に対し、東京地裁は4日、懲役8年(求刑・懲役10年)の判決を言い渡した。大野勝則裁判長は「無関係な第三者の人生に与える影響を顧みず、自己中心的な願望を満たそうとした」と述べ、4人の誤認逮捕を招いた被告の行為を厳しく非難した。

 判決は動機を「国家権力に対する個人的な恨みから、無実の者を誤認逮捕、起訴させ、捜査機関を出し抜こうとした」と認定。遠隔操作ウイルスを仕掛けた手法を「周到な準備をした上で痕跡を隠した巧妙な手口。サイバー犯罪の中でも悪質」と批判した。誤認逮捕で1カ月近く勾留された被害者がいることも踏まえ「動機、経緯に全く酌むべき点はない」と断じた。

 被告は航空機の爆破予告をしたとして、威力業務妨害罪(最長で懲役3年)よりも法定刑が重いハイジャック防止法違反(同10年)にも問われた。判決は量刑理由を「テロ事件を想起させ多額の経済的損失が生じた。相応に重い刑を科すのが相当」と説明。「真犯人」を名乗るメールを自作自演したことは「悪質な罪証隠滅工作で何としても自己の刑責を逃れようとした」と非難した。

 判決によると、片山被告は2012年6〜9月、計6人のPCに遠隔操作ウイルスを仕掛け、感染したPCから「飛行機に爆弾を持ち込んだ」とのメールを日本航空に送るなど計9件の犯行予告をした。被告が仕掛けた遠隔操作ウイルスで、大阪府や津市などの男性4人が誤認逮捕された。

 被告は昨年2月の初公判で「徹頭徹尾、事実無根」と無罪主張したが、保釈後の同5月に「真犯人メール」を送信したことが発覚。一転して起訴内容を認め「弱くて未熟だった。罪と正しく向き合いたい」と謝罪した。【島田信幸】

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