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人質交換の課題 専門家に聞く
1月29日 17時28分

日本時間の29日朝、新たにインターネット上に投稿されたメッセージでは、リシャウィ死刑囚をトルコ国境に連れてくるよう求めていますが、その背景と実際に行ううえでの課題を専門家に聞きました。

後藤さん国境近くで拘束か

中東情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センターの田中浩一郎所長は、トルコ国境が指定されたことについて、「リシャウィ死刑囚の出身地のイラク西部が距離的にも近く、2人を交換する場所となりえる。そうならなかったのは、イスラム国が、後藤さんをトルコ国境に近いシリア北部で拘束していることを示している」と指摘しました。

死刑囚の移送には最低でも5、6時間

また、トルコまでのリシャウィ死刑囚の移送手段については、「シリアやイラクの治安状況や残された時間などを考慮すると、空路しか考えられない。その場合も、戦闘が続くシリアやイラクの上空を避け、ヨルダンからいったん地中海に抜けた後、トルコ領内に入ることになるだろう」としています。
そのうえで、「ヨルダン国内で死刑囚が収容されている場所から、飛行場への移送やトルコでの国境までの移動を考えると、最低でも5、6時間はかかり、現地時間の日没までという期限を考えると、ヨルダン政府が決断を下すまでに残された時間は多くない」と指摘しました。

トルコの協力得られるか不透明

トルコ国境の具体的な場所としては、シリア側の地域をイスラム国が支配し、これまでも人質が解放されたトルコ南東部の国境の町、アクチャカレとなる可能性が高いとみられています。
田中所長は、アクチャカレについて、「イスラム国」と地元のクルド人部隊などが激しい戦闘を続けてきたシリア北部の要衝、アイン・アルアラブから50キロほどしか離れておらず、安全上の懸念もあると指摘しました。
また、トルコとヨルダンの関係は必ずしも良好とは言えず、ヨルダン政府が死刑囚を移送する際に、どこまでトルコ側の協力が得られるか、不透明な部分もあると指摘しました。

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