4人が誤認逮捕された遠隔操作ウイルス事件で、威力業務妨害やハイジャック防止法違反などの罪に問われたIT関連会社元社員、片山祐輔被告(32)の判決公判が4日、東京地裁で開かれた。

 大野勝則裁判長は「無実の人への影響を顧みず、捜査機関を出し抜いてやろうとした悪質なサイバー犯罪だ」として片山被告に懲役8年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

 大野裁判長は「無実の人の誤認逮捕を目的として犯行に及び、もくろみどおりの結果を生じさせた」として、起訴内容に含まれない誤認逮捕も量刑の判断材料に加えたと述べた。

 犯行後に報道機関などにメールを送り捜査機関を挑発する行動を繰り返したことに対しては、「世間をより騒がせようとしたもので悪質と言わざるを得ない」と指摘。保釈中に真犯人を名乗るメールを送信した自作自演の行為についても「何としても自己の刑事責任を逃れようとする被告の強固な意思と人格態度が見て取れる」と批判した。

 片山被告は匿名化ソフトで発信元を隠してウイルスに感染させた他人のパソコンを遠隔操作。平成24年8月に東京都内の幼稚園に無差別襲撃の予告メールを送信したなどとして、計10事件で起訴された。

 26年2月の初公判で無罪主張し、同3月に保釈。その後、「真犯人」メールが自作自演だったことが判明し再収監され、起訴内容を全面的に認めた。弁護側は「検察側の求刑は重すぎる」と訴えていた。