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TPP妥結阻止 「国会決議忘れるな」 弁護士、市民団体が決起 (2015/2/4)

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 TPP交渉の日米協議で、政府が検討を進めている米国産米の特別輸入枠の新設や、牛肉関税の大幅引き下げの動きを受けて、農家だけでなく市民団体も妥結阻止に向けて動き出した。3日、静岡県弁護士会がTPP締結に反対する声明を発表。首相官邸前では市民グループが米俵を持ち込み、「国会決議を忘れるな」と声を張り上げた。交渉が山場を迎える3月に向け、国会決議の順守を求める行動が本格化する。

 静岡県弁護士会の小長谷保会長は「TPPの締結に反対する会長声明」の中で、TPPは「食の安全・安心などの国民の利益を害するばかりでなく、日本国憲法の基本原則や基本的人権を侵害する恐れが極めて高い」と指摘。憲法を最高法規とする国家体制にとって看過できない重大な問題を多数含んでいることを反対理由に挙げた。

 声明では、TPP締結で食料自給率の低下や農産物の生産、流通に加え、肥料や飼料など関連産業の衰退すると強調。遺伝子組み換え(GM)食品の表示が撤廃されれば、食の安全は守られない事態になると予測。国民の生命・自由および幸福追求権などの重大な侵害に当たるとした。

 TPP交渉をめぐっては、年間77万トンのミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)の枠外で米国産の主食用米に特別枠を設定するとともに、牛肉関税(38.5%)を長期間かけて大幅に引き下げる案が浮上。米、牛肉のいずれも日本の重要品目で、聖域の筆頭格だけに譲歩は国会決議違反となる可能性が高い。3日の「STOP TPP!官邸前アクション」でも参加者から「農業をつぶすTPPはいらない」「TPPより命が大事」などとシュプレヒコールが上がった。

 3月には、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」が中心となって、TPP問題と地域の経済や暮らしを考えるシンポジウムも検討している。

 また、TPPに反対する市民らが集まり、閣僚会合や4月の統一地方選を見据えて「秘密交渉のままの合意はありえない」などと訴える行動を3月上旬にも展開する予定だ。地方発の行動を促すため、インターネットで呼び掛けを計画する市民団体もある。

 「大学教員の会」の呼び掛け人の一人で、東京大学の醍醐聰名誉教授は「マスコミの情報通りTPP交渉が妥結に向かえば、疲弊している地方の経済や生活は陥没してしまう。(国会決議の順守を決めた)原点に立ち返らなければ駄目だ」と強調する。

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