「マンホール蓋:種類・記号と撮影方法」の部屋=

いろんな街へ出かけてMHを見て歩くうちに、いろいろな種類(大きさ・形・用途・記号)のMHがあることが分かりました。そこでMH撮影を通じて分かったことや撮影の留意点など纏めてみました。MH蓋の参考情報としてご照覧頂ければ幸いです。

 
神奈川県
(横浜市・戸塚区)
      = 目 次 =
1.マンホールとは
2.種類(用途・管轄・形状)
3.記載文字(用途・記号・デザイン)
4.一般論(管轄官庁・市町村・用途の違い)
5.MH撮影でいろいろ分かること

6.撮影方法と留意点
7.MH撮影の楽しさ 

東 京 都
(足立区/竹ノ塚駅)


 ★★「マンホール蓋の部屋」(神奈川・東京中心に1,009個掲載)★★

趣味の部屋        




1.マンホールとは

@マンホール(MH):
読んで字のごとく「Man:人/Hole:孔」ということで、地下の配管点検やバルブの調整作業のために、人が入って作業をするための孔です。大きさは用途によって、大小さまざまです。又形も用途によって(丸型・四角型など)さまざまです。


Aハンドホール(HH):
〔機械用語〕一般的に
MHより小さなもので「Hand:人/Hole:孔(穴)」という意味で、手や工具を入れて作業(バルブ作業など)する孔です。一般に(公道上でなく)私道など(本管からの引き込み部)にあることが多い。
〔土木用語〕地中のケーブル・配管等の接続部など用の「コンクリート製の地下埋設の立方体の箱」のことを言います。


2.種類(用途・管轄・形状)


@上下水道用MH:
下水道(雨水・汚水の混合排管)・上水道(水道配管)・汚水道(汚水配管:下水処理場へ流す)等用のMH。

A温泉用小型MH蓋(HH):
「断湯弁」(温泉用配水管弁用のHHと思われる…)という小型蓋がある。(湯河原・伊東・下田等の温泉地で見かけた)

B消火栓・貯水槽用MH:
「消火用水道管の配管接続栓」や「防火(消火)用の地下貯水槽」用MHです。

C電気・通信線:
 ・東電:東京電力の地下埋設電気ケーブル用MH
 ・NTT:電話用等地下埋設信号線ケーブル用MH
 ・警察信号回線:信号機用通信線等埋設ケーブル用MH
 ・ケーブルTV:ケーブルTV用通信線埋設ケーブル用のMH
 ・電話線:電話線(&光ケーブル)等用埋設ケーブル用のMH
 ・電線類共同溝:各種電線類埋設の共同使用溝用のMH


Dガス配管用MH:
ガス配管用埋設配管用MH

E基準点用MH:
各種埋設基準点用(基準点の保護:破損・位置変動保護の目的の)MH

F人孔:
点検用で人が入坑するためのMH

G非常脱出口MH:
非常脱出口用のMH。小田原駅前で見かけたMH。(真下には地下街があり、地下に行って地下街の天井を確認しましたが、それらしき出口は見当たらず…。どこからの「非常脱出口」なのかは不明です。)

H救・7F(デパートの前の道路などにある):
建物火災時等の救助に使用する「救助用脱出シュート」の下部固定ロープ用フック収納部の蓋」のようです。
(そういえば、デパートなどの建物脇の歩道などにあったような気がします)

IMH形状(丸型・正方形・長方形・長丸・など):
一般の(上下水道や汚水用)MHは丸型が多いが、四角形もある。消火栓は丸型のもあるが、一般に横長の四角形の物が多い。  


3.記載文字(用途・記号・デザイン)

@用途・機能を表す文字:
 ・「雨・うすい」:建物の雨樋から流れ落ちた雨水や、道路の側溝へ流れ込んだ雨水の排水管用の点検・作業用MH。
 ・「電・電気」:電線ケーブル関係の地下埋設部のMH。
 ・「警」:警視庁の信号機用の電気配線ケーブルが地下埋設されているMH。
 ・「K」:「警視庁(信号機用)」MH蓋のマーク。
 ・「二重蓋(別名:親子蓋)」:機械・設備の搬入時は大きい蓋を、人が入る時は小さい蓋をあける。
 ・「合流」:雨水と汚水を一緒に流す合流式下水道用のMH
 ・「TEPCO」:東京電力のMH
 ・「G・瓦斯」:ガス会社のMH
 ・「C.C.BOX」:電線類地中化の為の埋設物(ケーブル)用MH
 ・「工(工事の「工」の文字)」:JR(昔の国鉄時代のマーク)
 ・「救・7F」:建物7階の救助用脱出シューター用下部のロープ固定金具収納部の小型蓋。

A各種弁・配管を著わす文字:
 ・「仕切弁」:ゲートバルブ。仕切りゲートを(ハンドルを回し)流路に直角に下降させ流れを遮断するバルブ。
 ・「ソフトシール弁」:仕切り弁の一種で、弁体の先端がゴム製で止水性があるバルブを言う。
 ・「止水栓」:水道の蛇口とは別に設けられた(水道の)水を止めるための栓。
 ・「制水弁」:水を止める(&流量を調整する)ための弁。
 ・「空気弁」:管内の空気を排出(又は吸入)する弁。空気の溜まりやすい所に設置する。(空気を自動吸排気する弁)
 ・「排気弁」:管内の空気を排出する弁。(基本は空気弁と同様のバルブと思われますが、詳細については分かりません…)
 ・「下 水」:昔の下水道で、生活排水や雨水などが混ざった排水管用MH蓋。(最近は「雨水・汚水」に区分されている)
 ・「上 水」:要するに「水道配管」メンテ用のMH蓋。
 ・「汚 水」:汚水(生活排水+トイレ排水)のMH蓋。
 ・「雨 水」:雨水(雨の排水管)用のMH蓋。
 ・「合 流」:合流式下水道:汚水と雨水を(分離せず)一緒に流す下水方式。最近は分流式が主流。




4.一般論(管轄官庁・市町村・用途の違い)

@消火栓・防火貯水槽:
 ・一般のMH(上下水道用)よりも(どの街でも)素晴らしいデザインの、かわいいキャラクターのMHが多い。

AMHのマークやデザイン:
 ・都・県・市・町によっては、紋章の他にシンボルマークがあるものもある。
 ・デザイン:一般に市や町のシンボル(花・木・マーク・紋章)や、その街の歴史・祭り・観光などがデザインされている。

B東京都:
 ・都の紋章(二重丸の周りに6個の棒)、シンボルマーク(銀杏の葉の形)、都の花(桜:ソメイヨシノ)などがある。
 ・都内23区:MHデザインにはあまり力を入れていない場合が多いが、足立区は別格で、沢山のデザインMHがある。
  (足立区・竹ノ塚駅界隈には、いろんなデザインの素晴らしいMHが多い)
 ・23区以外(市や町):多くの素晴らしいデザイン(カラフルな)MHが多い。(市や町の大小には関係ないようだ)

C神奈川県:
 ・大都市の横浜市や各市町村にはどの街においても素晴らしいデザインMH(カラー・キャラクターものなど)が多くある。
 ・小田原市:当市は県内でも有数の素晴らしいデザインMHが多い街なのではないだろうか…。
  (この街のMHが素晴らしいことに気がついたのが、MHの趣味を始めたきっかけです…) 


5.MH撮影でいろいろ分かること

@その街の変遷がわかる:
 ・市町村合併前の昔の町や市のマンホールがそのまま存在している場合がある。
  (例):神奈川県相模原市の相模湖駅界隈にある「(旧)相模湖町」のMHなど…。

A管轄官庁(&会社)の変遷:古い時代のMHが存在する。
 ・(旧 )建設省マーク:現在は国土交通省のマーク
 ・(旧 )国鉄マーク(工):現在は「JR」
 ・(旧 )日本電信電話公社マーク:現在は「日本電信電話株式会社(NTT)」

Bその土地の歴史や観光:
 ・MH蓋にはその土地の歴史・祭り・芸能・観光などがデザインされていて、今まで知らなかったいろいろのことがわかる。

CカラーMHとモノクロ(一般)MH:
 カラーマンホールは素晴らしいデザインのものが各地で見られ、それはそれで良いが、逆に鉄の(黒光りの)良さはない。
日本の家は木目の良さを生かしてペンキ塗りしないが、欧米の建物は塗装するが木の良さは出ない、のと同じ感じがしている。
モノクロのMHは鉄の凸部(黒光りをした部分)と凹部(砂などが溜まりグレー色)とのコントラストが実に綺麗で、これもまた私の好きな点である。
 新品のモノクロMHはすべて黒色塗装なので、撮影時には新品だが、魅力を感じないので撮影はあまりしない。
むしろ使いこんだ(年季の入った)黒光りした(擦り減ったりしている)古いMHに魅了を感じている。
なので、カラーMHばかりでなく、一般MHも見逃さずに撮影するようにしている。
 
D不明(不思議)なMH:
(1)その街にあるはずの無い他の市町村のMHが見つかることがある。
 山北町の駅の近くの広場(南側)にある「愛川町の町章のあるMH蓋」がその一例である。
(2)何の目的だかわからないMHが見つかることがある。
 小田原駅南口前歩道にある「非常脱出口」MH。どこからの「非常脱出」なのか不明。真下には地下街があるので調べて見たが「非常階段や梯子・天井の脱出口」など(地下街からの非常脱出と仮定した場合の関係設備など)も何もない…。
こんな不思議なこともあるのでMH撮影は楽しい。(もちろん理由はあるのだろうが、特に調べていないので、理由は不明)


6.撮影方法と留意点

@上下正しく影なく撮る:
・MHには上下(天地)がある:上部(天部)を正しく上にして撮る。
・MHの市章の向きが不明な場合:上下左右の方向から何枚か撮影しておき、帰宅後に標章を調べて正しい向きの画像を選択する。
・撮影角度:出来る限り正確な形を撮影するために出来る限り真上から撮影する。
・真正面からの撮影が困難な場合は、自分の影の映り込みや障害物を避けるために、斜めの角度で撮影する。この場合、撮影画像が
 変形するが、帰宅後(真上から見た状態に)画像ソフトで修正する。
・親子蓋などの大口径のMHの撮影は真上からは無理なので斜からの撮影になる。
 この場合、HPへの掲載は
  @大きさを表現するため撮影画像のまま掲載
  A真上からの画像にソフトで修正する
 のいずれかで、ケースバイケース。

A撮影カメラ・服装
・MHの撮影は普通の「携帯カメラ」機能で十分である。(最近の携帯カメラは画素数が大きいので静止画には十分である)
・撮影場所の電車の下車駅を撮影するために「一般のデジカメ」持参。(やはり風景は携帯カメラではだめである)
・夏場の長時間撮影は熱中症に要注意。ペットボトル持参で撮影に…。お店も何もないところもあり事前準備は必要。
・服装:夏は特に日よけの帽子が必要。被っていないと、頭くらくら状態(熱中症など)になります。
・急な天候変化(雨、寒暖)に要注意。場合によっては小型の傘も用意する。少々の雨であれば帽子でもOK。
 (事前に天気をチェックし、出かける日を決める)
・靴:MH上のゴミや葉や砂を取り除く道具の役目も担うので、角のあるものが良い。
   また、足場の悪い所もあるので、靴底は滑りにくく、疲れにくいもの(深い溝があるウオーキングシューズ)が良い。
・上着:日焼け防止のため夏でも長袖。ポケットはデジカメが入るものが良い。
・メガネ:夏場はUVカットメガネ(私は外出用老眼鏡)着用。白内障予防と目の疲れの防止にもなる。

BMH撮影下車駅
・MH撮影は電車で行く。これが一番だ。MHは繁華街に多い。
 …となると、効率よく探すには、電車で各街の中心の駅が良いということになる。
・そこで、MHがあるかないかは、行ってみないと分からないので(あるなしにかかわらず)「市や町と同じ駅名の駅」で下車
 をし、まずはそこでMH撮影をすることにしている。別に何の根拠もないが…。そこでなかったら、近くの駅へ移動、という
 様な方法だ。ま、行き当たりばったりということになる…。それもまた楽しきかなである。
 でも、そんなやり方だから、あまり効率は良くない。
・その日一日MH撮影を楽しめればそれでよい…。せっかく初めての駅(の場合が多い)に行くのだから、駅舎やその土地の歴史や
 観光など(記念碑や建物や風景など)の撮影も楽しみの一つになる。

CMH撮影の歩き方:
・撮影する市や町の中心の駅で下車し、駅界隈をある程度当たりをつけて最少距離で効率的に回り、無駄な歩き方をしない様に
 する。(…というか、もう歳なので無理はできないので、そうしたい…)
・デザインの良いMH:駅や繁華街など人の集まる所(繁華街など)が多いので、その辺を中心にして効率よく回る。
 駅を出発したら駅へ短時間で戻れる歩き方を考えて歩く。道の遠くをよく観察し、MHがなさそうなら行くのをやめる。
・各種MHを撮影するためには:メイン通りより、裏通りの方がいろいろ歴史のあるMHがある場合がある。やはり経験が必要。
・消火栓は必ず撮影:良いデザインが多い。多くは黄色の枠で囲まれており、慣れると遠くにあってもすぐわかるようになる。
・一つの駅(市や町)での撮影:最短で30分、長いと1時間以上かかる。時間がかかるときは途中休憩(お茶など)をいれる。

D撮影時期・時間帯:
・天気:快晴より曇天の方が良い。MH蓋の凸部分(歩行者で磨かれている)の強い反射光や日影も出来ず、良い写真が撮れる。
・季節:夏は太陽が真上にあり、影もできるし、日差しも強く撮影時に反射光も強いので、出来れば避けたい。
・時間帯:太陽が真上にくる昼前後は出来るだけ避けて(自分の影が出来ない時間帯に)撮影する様に心がけている。

EMH蓋上や周りのゴミ:
・ゴミ・路面の汚れなどが甚だしく多い場合は、撮影後、画像ソフトで修正。できるだけくっきり見やすい画像の状態にする。
・凹部のゴミはあまり気にせず、凸部のゴミだけを靴底の先などで取り払う。それでも十分コントラストの良い写真が撮れる。
・ポイントは「デザイン部と周囲の円形リング部」がはっきりしている(鉄の地肌が出ている)状態で撮影することである。

F撮影時の安全確保:
・車道での撮影:横断歩道脇や車道の真ん中に撮りたい良いデザインのMHがある場合、撮影の安全には十分に注意が必要だ。
 (赤信号などで、全く車が来ない場合など、安全確保が出来る場合以外は、やめた方がよい。無理はしないことだ… )
・撮影:撮影に気を撮られて周りの状況に気づかないことが多い。常に周りの安全確認をしながら撮影をすることが必要。
・雨降り時:このときも同様で、傘で視界が遮られ、周囲の状況の把握がしずらいので、要注意である。
・一日の撮影は1〜2個所:一か所(市や町)で150枚程度撮影する。気がつくと結構長距離を歩くので、無理は禁物だ。



7.MH撮影の楽しさ
@ いろいろ再発見があるMH撮影:
 ほとんどの街は,昔(と言っても何十年か前)の面影が,全くと言ってよいほど無くなっており,その変貌に驚くことが多い。
 今も,昔とあまり変わらない駅が多いのは,東京23区内のJRの駅ぐらいだろうか…。
 郊外に行けばいくほど,駅は高架駅になり,駅前には大きな高架歩道回廊(ペデストリアンデッキ)になっていたり…。
 とにかく,昔を思い出せない程の変貌だった。
 MH撮影の趣味がなければ,そんな発見もないわけで,とにかくいろんな再発見がある。

A何年もいた街なのにMHに気づかず:
 MHは,最近興味が湧いたことなので,何年も住んでいた街でさえ,素晴らしいデザインMHがあることに,全く気づかなかった。
 いくら素晴らしいデザインのMHが目の前にあったとしても,興味の無いものには人間気がつかないものなんだ…。
 特に,現役時代の仕事で多忙な時期(時代)は,街を歩いていても「MHを,見ていながら,見えていない」と言う状態であったの
 だろう。そう考えると,本当は自分が興味があることに対して,現在でも気づいていないのかもしれない…。

BMH撮影で初めての街へ行く:
 牛にひかれて善光寺…,ではないが,MHにひかれて初めての街へである。MH撮影がなければ,一生行かないかもしれない街へ…。
 各街(市や町)のMH撮影が対象なので,当然のことながら,今まで行ったことの無い街への撮影散策と相成る。
 電車でその市にある中心の駅にまずは降り立つ。初めて見る駅舎やMH,そして基準点やその地の歴史を偲ばせるいろんな物に
 出会う。とにかく,MH撮影でもなければ,行くこともないだろう街で,MH蓋の収穫以外に,いろんなことを知ることができる。

CMH以外にもいろんな発見が…:
 そんなわけで,知っている街も,始めても街も,MH撮影のために行ってみると,いろいろの発見がある。
 MHの絵柄から,その街の歴史を知ることもができる。目的を持って出かけてみると,新たな発見があるものだ,とつくづく思った。
 MH撮影のお陰で,各種の公共基準点やデザイン側溝,そして,デザインタイルなど,さまざまな発見があった。
 またSLが多くの街に保存されていることも分かり,SLは昔から大好きだったので,その撮影も目的の一つになってしまった。

Dこれからも新たな発見を…:
 これからも,いろいろ散策がてら出かけて,新たな珍しいものを発見したいと思う。
 単に気分転換に時々小田原に散策に行ったのが,デザインMHに興味を持ったきっかけだった。
 その結果,気がついたら,いろんなことを発見し,興味が出てきて,趣味の一環になってしまった。
 まだまだ世の中知らないことだらけ,と言うのが実感だ。
 これからもいろんな発見をし,新たな楽しみも見つけてみたいと思うこの頃である。



                                      (以上)


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