後藤健二さんの言葉世界に拡散 リツイート3万件突破

2015年2月4日6時0分  スポーツ報知

 中東の過激派「イスラム国」によって、後藤健二さん(47)が殺害されたとする映像が1日に公開された後、後藤さんが過去に「ツイッター」で発言(ツイート)した内容が、インターネット上で急激に広がっている。「現場主義」を貫いた後藤さんの残した「言葉」が、人々の心に訴えかけているとみられる。一方、ヨルダンでは3日までに、首都アンマンに市民約100人が集まり「イスラム国」の行為への抗議集会が行われた。

 約3万6000人を超えるフォロワーを持つ後藤さんのツイートは、中東取材の現場リポートから、ジャーナリストとしての信条、日々思ったことなど、さまざまなことが記されていた。

 「目を閉じて、じっと我慢。怒ったら、怒鳴(どな)ったら、終わり。それは祈りに近い。憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。―そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」

 後藤さんが2010年9月に書き込んだものだが、くしくも「イスラム国」に拘束された時の心情を思わせる内容に今も反響が続いている。リツイート(転載)数は最も多く、3日までに3万件を突破した。

 10年12月は、取材における苦悩がつづられていた。

 「取材現場に涙はいらない。ただ、ありのままを克明に記録し、人の愚かさや醜さ、理不尽さ、悲哀、命の危機を伝えることが使命だ。でも、つらいものはつらい。胸が締め付けられる」

 10年4月には、自身がこだわる「現場主義」について語っている。

 「物事はやってしまえば、実は通ってしまうことってあります。取材現場での心持としては、とても重要です。答えを勝手に決めつけないこと。まず、当事者に聞いてみなくてはわからない。そして彼らの言葉で語ってもらう」

 また、信念のような言葉も。

 「僕たちも大きな地図というか地球儀を作ろうとしているんですよ。親しい者同士かは全くわかりませんが、地球という星の上に自分が居て、彼らもいる」

 11年6月の書き込みには、後藤さんの正義感がにじみ出ていた。

 「世界市場では、待っていても何も起こらない。最初の一歩は自らが踏み出さないと。子どもを大事にしない政府や国に未来なし」

 昨年10月23日のツイートが最後となったが、危険な紛争地に飛び込み、おびえながら暮らす一般市民や子供たちの現状を伝えようとした後藤さんの「言葉」の数々は、人をひきつけてやまない。

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