「経営を預かる者として結果を真摯に受け止めている。業績回復に向けて不退転の決意で臨んでいく」
シャープは3日、2015年3月期の連結最終損益が300億円の赤字(前期は115億円の黒字)になる見通しだと発表した。300億円の黒字を見込んだ従来予想から一転、2期ぶりの赤字となる。決算会見に登壇したシャープの高橋興三社長は、就任2年目での赤字転落の責任をこう口にした。
2015年3月期は、営業利益が従来予想から半減となる500億円にとどまる見通し。主力の液晶事業は競争が激化したことで採算が悪化、黒字は確保するものの営業利益を前回予想から150億円減の400億円に下方修正した。テレビの販売不振にあえぐデジタル情報家電事業(通信を除く)は120億円の赤字、急速な円安進行への対応が遅れたエネルギーソリューション(太陽電池)事業も50億円の赤字と、ビジネスソリューション(複写機)や通信などを除く大半の部門で業績見通しを引き下げた。
業績悪化を受け、シャープは2016年3月期までの3カ年を想定していた中期経営計画を見直す。今年5月に2016年3月期以降の新たな計画を公表する予定。テレビや太陽電池事業では、「従来の取り組みでは事業成長が難しくなった」(高橋社長)と判断、抜本的な構造改革に取り組む。2月以降は、取締役の報酬を最大55%削減する。
「国の資金で安売り許せない」
一時は回復軌道に乗ったかに見えたシャープの業績に急ブレーキがかかったのは、屋台骨を支えてきた液晶事業の採算悪化が大きい。小米(シャオミ)などの中国顧客を開拓し、2014年4〜9月期まではスマートフォン(スマホ)など向けの中小型液晶パネルが好調に推移してきたが、昨年終盤から風向きが一変した。当初は亀山第2工場の中小型液晶パネル比率を下期に5割まで高める計画だったが、2014年10〜12月期は「35%にとどまった」(高橋社長)。円安やコスト削減で何とか収益は維持するものの、販売を巡る環境は一気に苦しくなった。