相談相手にならない「危険人物」4つの特徴
横山信弘 | 経営コンサルタント
他人と話をしていて、この人とはいつも「話が噛み合わない」「会話がゆがむ」と感じることはありませんか。常に自分のことを誤解して発言するような人がいると、あまりいい気分はしませんよね。当然、そのような人に、自分の悩みを打ち明けたり、問題解決のために相談をしても、いいアドバイスをもらえることはないでしょう。会話がゆがむことによって、いちいち「ゆがみ」を整えなくてはなりませんから、イライラが募ります。気分転換にすら、ならないこともあるでしょう。
今回は、会話がゆがみやすい危険人物の特徴を紹介します。事前に特徴がわかっていれば、その人と会話するときに心の準備ができますし、当然のことながら相談相手にすることもなくなります。それでは、相談相手にならない、会話が「ゆがむ」危険人物の特徴4つを以下に列挙します。
● 置かれた立場や環境などが著しく異なる人
● リアルでの接点が少ない人
● 自分のほうが立場・地位が上だと考えている人
● もともと「感度」が低い人
1.置かれた立場や環境などが著しく異なる人
話を噛み合わせるためには、話のコアとなる「知識」をお互いが共有していることが前提条件です。たとえば乃木坂46誕生当時からファンの人が、乃木坂46の存在すら知らない人に、その良さを力説しても、共有している知識の量も質も違い過ぎます。話が合わないことが多いでしょう。このことと同じです。
たとえば、学校を卒業してすぐに結婚し、一度も社会で働いたことがない専業主婦の方と、長時間労働が当たり前のバリバリ働く熱血ビジネスウーマンの方とは、同じ女性でも、お互い置かれた環境が異なるため、自然と会話がゆがんでいきます。性別も異なり、年齢も離れていると、会話の「ゆがみ度」はさらに大きくなっていきます。たとえ相手を尊敬できる人物だとしても、相談相手にしないほうが得策だと言えます。50歳の男性経営者Aさんと、20歳で結婚した専業主婦Bさんとの会話を考えてみます。
A:「会社の資金繰りがかなりマズイことになっていてね。従業員の給料を支払い続けられるかどうか、わからないんだ」
B:「最近、景気って悪いの?」
A:「え……。景気?」
B:「そう、景気が悪いから会社がうまくいかないんでしょう?」
A:「いや、当社は景気に左右されない商材を扱っているし、たとえ業績が良くても資金繰りが悪化することもあるんだよ」
B:「私の知り合いで、会社を再建した社長さんがいるけど」
A:「え? どうやって?」
B:「お店の立地を変えることで売上がすごく伸びたんだって。ネイルサロンなんだけど」
A:「当社は工場設備を作ってる会社だし、しかも資金繰りの問題だから、悠長なことは言ってられないんだ。立地とか、そういうことじゃなくて……」
これは極端な事例ですが「前提知識」が足りない相手だと、相談どころか話が噛み合わないことが多くなります。気をつけましょう。
2.リアルでの接点が少ない人
「リアルでの接点が少ない人」というのは、インターネット上での付き合いがメインの人のことです。ツイッターやフェイスブックといったSNSを通じて親しくなり、自分が抱えていることについて相談したいという気持ちになることは多くあるでしょう。しかし前述したとおり、お互いの立場や環境を正しく共有できていないケースが多く、会話をしていても「ゆがむ」ことが多々あります。
原因は、メールやメッセージ交換のみのやり取りだと、どうしても「言葉の省略」と「タイムラグ」が発生するからです。リアルな会話なら、ちょっとした言葉のニュアンスを補うことができたり、自分の言い間違いや相手の誤解を即座に訂正することができます。しかしネット上だと、ゆがみの「微調整」ができないため、誤解が誤解を生み、会話がこじれることが多いのです。リアルタイムに会話のゆがみを整えることがしづらい媒体でコミュニケーションするのは避けたほうがいいでしょう。
どうしてもネットだけのお付き合いの人に相談したい場合は、電話やスカイプを使うなど、双方向の通話ができるシステムを活用したほうがよいと思います。
3.自分のほうが立場・地位が上だと考えている人
どうして世の中の社長は「早とちり」が多いのか?に書いたとおり、自分のことが立場が上だと考えている人、いつも上から目線で話を聞こうとする人は要注意です。「話半分」に聞き、「早とちり」したあげく、自分の考えを押し付けようとしてくることが多いからです。
「遠慮することない。なんでも私に相談しなさい」
と命令口調で言う人は、よけいに相談しないほうが無難です。相談してアドバイスをもらったらもらったで、その人のアドバイスに従わないと、ややこしいことになると、いった副作用もありますから。
4.もともと「感度」が低い人
立場も環境も似通っていて、お互いのこともよく知っており、何を話をしてもわかり合えそうな相手であっても、相談者として適任かどうかは別です。会社の同僚であるCさんとDさんの会話を紹介します。
C:「今度の新年会、何か出し物を考えたか?」
D:「出し物?」
C:「いつも部長が若手にやらせている出し物だよ。新年会で必ずやらされるじゃないか」
D:「そうだっけ?」
C:「去年の新年会、来てただろ?」
D:「入社してから毎年、新年会は行ってるよ」
C:「だったらわかるじゃないか。部長の顔色をうかがっている課長2人がうるさいんだよ。部長の機嫌をとれって」
D:「課長2人って誰?」
C:「KさんとSさんだよ」
D:「KさんとSさん? あの人たち、部長の顔色をいつもうかがってんの?」
C:「そうだよ。有名な話だろ。いつも会議の席でもそうじゃないか」
D:「会議の席って、なんの会議?」
C:「定例会議とか、月例会議でもそうじゃないか」
D:「そういや、定例会議と月例会議って、何が違うんだっけ?」
C:「そんなこと、今どうだっていいじゃないか……」
読めばわかると思いますが、Dさんが途中で会話をゆがませています。Dさんの「感度」が低いため、会話がゆがんでいること自体、気づきません。そのため、会話の「ゆがみ」をCさんが整えていかないと、このまま会話が進んでいくことになってしまいます。
「感度」が低い人は興味のないことにアンテナを張っていません。認知する力が弱いと言えます。相手の話も言葉のニュアンスも省略して認知するため、話が別のテーマへとそれていくことがあります。雑談や表面的なコミュニケーションなら楽しく会話できますが、悩みの相談相手になるかというと、難しいときもあるでしょう。
プロフェッショナルに相談するという選択肢
これら「危険人物」の4つの特徴、すべて揃えていても、相談相手として適任の人はいます。それはプロのカウンセラーやコーチです。(とはいえ、慎重に相手は選びましょう)カウンセラーやコーチは、基本的にアドバイスや助言をしません。高度な質問テクニックで、相手の潜在的な意識の中にある「答え」を引き出してくれる役割を担います。重大な相談であればあるほど、このようなプロの方にお願いしたほうがよいこともあるでしょう。