卒業式が近づくにつれ講義もなくなり、あとは論文を提出するだけ。

就職先もなんとか決まったし、先生からオッケーがもらえれば春休みがまってる。

とはいえ、今日は学校に久々きたし、先生も研究室にいるし、論文めっちゃ頑張ろうと意気込んだ私。

気付いたら辺りは真っ暗で多分19時とか20時くらいだったはず。
疲れたし帰ろうと思って片付けをしていたら、田中くんに話かけられた。

「あんずちゃん、こんな遅くまで論文？おれもー。おれ車だから駅まで送ってくよー」

「いや、いーよ、悪いから」と言ったけど寒いし、やはりありがたいなぁと思い「あざまーす」とすぐに田中くんの厚意に甘えることに。
とはいえ、田中くんに、あんずちゃんと呼ばれるほど、私は田中くんと親しくない。ゼミのクラスが一緒なくらいで、たまたま帰りが一緒になっただけで、駅まで送ってくれるなんて親切な人だなーと思った。

車に乗り駅へと走らせてくれる。
乗って5分くらい経過した時に、家の最寄り駅まで送るよ！と言うではないか、田中くん。いーよ。いーよ。と私なりには断ったんだけど結局うちまで送ってくれたのだ。いい奴だな、田中くん。って思ったのだけど、部屋の椅子に座り、ふと田中くんにガソリン代払ってないな。田中くん、夜用事とか無かったんかいな？ってか、田中くんちはうちの方向と同じだったのかな？むっちゃ悪いことしたなって思いが止まらなくなった。親しくないもので、お礼のメールもできず、モヤモヤな日々を過ごす。

数日後、学校へ行くと田中くんがいた。
ありがとうございますだけでは、と思い学校の近くにあるファミマで何か買って…と思っていたら、店内にチョコが沢山陳列されている。よくわからないけど、あ、チョコでえーやん！って思った私はそれを手にゼミに戻った。
たまたま外に出ようとする田中くんを見つけ、私は走った。
「この前はありがとうございました。これツマラナイものだから、おうちであけてーな、じゃね。」みたいなことを言ったんだと思う。

その日知らない人からメールがきた。田中くんだった。ゼミの人に私のメアドを聞いたらしい。何回かやりとりをしたんだと思うのだけど、一緒にゴハンを食べようという流れになり、何回か2人でゴハンを食べた。

田中くんとは別に、同じ時期に同じゼミの山本くんからメールが届いた。
山本くんとも親しくはないが、誰かから私の連絡先を聞いたらしく、メールのやりとりをしていた。そして、一緒にゴハンを食べようと言われたから、何回か2人でゴハンを食べた。

バレンタインというイベントを皆さんご存知だろうか。いつからそんなイベントが巷で流行り出したのか知らないが、そーゆーイベントがあるらしい。なんの自慢にもならないが、私はチョコが嫌いだ。そして、バレンタインに率先して参加したことがない。
バレンタインの前後に、私は田中くんと山本くんとこんなたわいも無いやり取りをしていたが、ある日、山本くんが怒っているではないか。穏やかでない。あんずちゃん二股かよ！と。田中くんとゴハン食べたりチョコ渡したり何なんだよ！と。
待てよ。チョコ…そう、私がお礼に渡したチョコのことだ。いや、あれはお礼に渡したんだよ。と話すものの、あんずちゃんはおれに期待を持たせてた！と怒っている。すると、田中くんから、山本くんとも2人でゴハン食べたりして期待を持たせてた！と田中くんも怒っているではないか。

ゴハンを2人で食べに行くことぐらいなんなんだよ。と。チョコがどれだけの効果をもたらすのか分からないが、そもそも私は別の人と付き合っているんだが。

そして、あんずは卒業後、田中くんに、あの女たぶらかして嫌な奴と言いふらされるんだ。笑

この時期にファミマでチョコを見ると、田中くんと山本くんが頭をよぎる。
だが、これを書いている今、田中くんと山本くんの名前と顔が全く思い出せない。
それぐらい薄い話なんだけど、私はそんなに期待を持たせていないよなーっていまだに納得できないでいる。

で、この前友達と話をしてて、恋愛は趣味みたいなもんだよ？と言われて、なんてゆーかそーゆーバレンタインとかクリスマスとかイベントをしてる自分が楽しいみたいな。恋愛してる自分が楽しいみたいな。すっごく私のくだらない話を書いて申し訳ないんだけど、多分田中くんも山本くんも、別に怒ってるんじゃなくて、チョコもらうイベントをただ楽しみたかっただけなんじゃないかなー？と。
私がイベントに疎いのもあるんだけど、成人してから同僚の男性がお返しするのが大変そうで、学生だから楽しいイベントなんじゃないかなって思って。よくわからないけど、チョコ貰ったとか貰わないとかネタなんだろうと。

友達が言うように恋愛をしてる自分が楽しいとかそれくらいの気持ちだったら、私もしてみたかったなって。私は人を疑い自身を疑い、スレた野郎だな。と思ったよ。

最近パン捏ねると安心する。