[PR]

 客観的な報道で知識層に人気がある香港紙「明報」で、1989年の天安門事件に関するトップ記事が先月就任した編集長の鶴の一声で入れ替えられ、記者らが反発する騒動になっている。民主化運動が弾圧された同事件は中国本土ではタブーだが、香港メディアにとっては「言論の自由」のバロメーターともいえるテーマ。中国側の関与を疑う声も上がっている。

 問題の記事は、事件当時、天安門広場にいた20歳の学生から、北京のカナダ大使館員が聞き取った内容の公文書を独自に報じたもので、2日付でトップ記事の下に掲載された。広場の学生に向かって人民解放軍の兵士が銃を撃ち、戦車が学生や市民をひいたのを見たなどとする証言を紹介し、専門家による評価などをまとめている。

 事件について当局は治安側を含め319人の死者が出たと発表したが、実際の死傷者数ははるかに多かったとされ、何が起きたのか今も詳細は不明だ。

この記事に関するニュース
  • レコメンドシステムによる自動選択