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イスラム国戦闘員アカウントとの自動翻訳による対話の嘘

投稿日: 更新:
ISLAMIC STATE FLAG
YOUNIS AL-BAYATI via Getty Images

イスラム国の戦闘員を自称するtwitterアカウントが、自動翻訳を使って日本人と対話していることが話題となっている。下記のまとめサイトでは、100万単位の閲覧数を得て、今もネット上に拡散中だ。

ISIS戦闘員のおはなし
http://togetter.com/li/774514

日本語でTweetしていたイスラム国自爆要員ハーデスさんが切なすぎる。
http://matome.naver.jp/odai/2142222254072200701

なかなか触れ合うことのない宗教や国の壁を超えたネット越しの対話に注目が集まっている。しかし、やりとりも筋書きがあるような展開で、あえて感動を強要するような要素が見受けられた。そこで戦闘員を自称するアカウントを調べてみると、自動翻訳ではありえない投稿(普通の自動翻訳では「because 我々ができました」のようにはならない)や、麻原彰晃のbotをフォローしているなど、イスラム国の住人にしては引っかかる部分が多い。また一日中、日本人としかやりとりしていない点もおかしい。数年前に取ったアカウントで、いろいろ細工がされて手が込んでいるが、怪しい部分がいくつもある。

そして筆者は決定的な点はないかと考えた。偽物のアカウントを作る人が、プロフィール画像を撮影するわけがない。ネットで拾った画像だろうと察しが付く。そこで、戦闘員のアイコンの画像をダウンロードして、Google画像検索で検索をして出てきた記事がこれだ。

http://www.ryersonian.ca/isis-fighter-says-he-is-a-former-ryerson-student/

上記の「イスラム国のジハーディストがカナダ人の学生だった」という記事と同じ画像である。これは2014年の11月の記事。写真が同一人物だったとしても、日本人と対話しているアカウントとの内容とは別。ということで、怪しいアカウントがあったらアイコン画像をGoogle画像検索で検索してみるのも良策。多くの話題性を集めたいだけのアカウントは、どこかで拾ってきた画像のはずだ。

近年、手段を選ばずに注目を得たいがための作り話をネット上に流布する人が増えている。なぜこういった無責任な発言を続けるアカウントが増えているのかというと、成功例があるからだ。他人の発言を盗用し、あたかも自分の発言のように書き換えて投稿を続けるアカウント「サザエBot」が、22万人のフォロワーを付け、トークイベントを行ってしまうという現状がある。関係者に対して品位を疑わざろうえない。作り話をしている本人は実生活に何も弊害が起きないので、歯止めが効かないのが現状。もちろん、自分自身もネットという公共空間で、発言を気を付けなければいけない。

https://twitter.com/sazae_f
http://prophet.peatix.com/