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2-3

『和訳蒙求』

| 21:59 |  『和訳蒙求』を含むブックマーク

 国立国会図書館デジタルコレクションの公開範囲変動(2015年1月) - 2sc1815jの日記によって、2015年1月に館内公開からインターネット公開(保護期間満了)に変更された資料が3296件にのぼることを知りました。

 その一覧表をつらつら眺めていたところ、終わりの方に『和訳蒙求』の書名が。

 国立国会図書館デジタルコレクション - 和訳蒙求

 一見すると『蒙求』の翻訳であるかのような書名ですが、さにあらず。実は源光行『蒙求和歌』の校訂本なのです。これは池田利夫氏『日中比較文学の基礎研究』(笠間書院、1974年)第五章「蒙求和歌の伝本系統と諸本」(初出、1968年)に紹介されている本ですが、今まで見る機会がなかったので、このたびの処置は嬉しい。

また、この第二類本の活字本には、ほかに明治四十四年に発行された「和訳蒙求」と題する単行本があり、これはやはり国会甲本を底本にしたものである。

(192頁)他の活字本は、もちろん、続群書類従所収本です。また、「国会甲本」というのはいわゆる「慈鎮真跡」本でして、こちらは以前よりインターネット公開されています。

 国立国会図書館デジタルコレクション - 蒙求和歌 14巻

 この本の影印は『附音増広古注蒙求 蒙求和歌』(中文出版社1973年)で見られるのですが・・・

f:id:consigliere:20150203214456j:image

御覧のように、とても閲覧にたえられるものではなかったので(たとえば http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2570135/5 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2570135/6 と見比べればわかるように、この影印本では付箋の裏の字が全く読めない)、こういった貴重書の公開は本当にありがたいですね。

 で、この『和訳蒙求』ですが、原本の片仮名を全て平仮名に直し、適宜漢字を宛て、句読点・濁点を付し、しかも他本との校異を示さずに本文を改めている(たとえば、「国会甲本」は「漢祖龍顔」末尾の和歌を欠いていますが、『和訳蒙求』はそれを他本から補っています)ので、学術的に利用することはできませんが、読みづらい本文が通読しやすくなっているのは大きな利点です。

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