社説
テロへの対応 新法制の口実にするな
(02/03)
過激派「イスラム国」による邦人人質事件を受け、安倍晋三首相が自衛隊による邦人救出を含む安全保障法制に前のめりな姿勢を強めている。
きのうの参院予算委員会で、集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定に基づく法整備にあらためて意欲を示した。
だが政府が目指す安保法制は、いずれも海外での武力行使を禁じた憲法9条に抵触する恐れが極めて強く、到底認められない。
人質事件をめぐっては、解放に向けた政府の具体的対応など、明らかになっていないことが多い。
それらの徹底した検証が必要だ。それなしに、テロへの対応を安易に安保法制の口実にすることは許されない。
首相は予算委で、現行自衛隊法では邦人救出はできないとした上で「救出も可能にする議論をこれから行っていきたい」と述べた。
政府は昨年7月の閣議決定で、集団的自衛権行使容認とともに「武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある」と明記した。
これに基づき、新たな法整備では領域国の同意などを条件に武器使用基準を緩和する方針だ。
他国での武力行使と紙一重である上、自衛隊が紛争に巻き込まれることにもつながりかねない。
首相は、米国などによるイスラム国空爆への日本の参加や後方支援は否定した。
一方で中東を含め、自身が訪問、会談したほぼすべての首脳から「集団的自衛権行使を含む積極的平和主義について理解と強い支持をいただいた」と強調した。
中東地域での機雷掃海などを可能にする法整備を念頭に置いた発言ではないか。
きのうの予算委では議論が深まらなかったが、今回の人質事件では多くの検証すべき問題がある。
政府は昨年8月に湯川遥菜(はるな)さんと連絡が取れなくなった段階で、外務省に対策室を設置するなどして対応したと説明している。
だが菅義偉官房長官は1日の記者会見で「(イスラム国とは直接)接触しなかった」と述べた。なぜか。昨年、政府が設置した国家安全保障局は十分機能したのか。
さらに、首相が2億ドル規模の人道支援を表明した演説の経緯やタイミングは妥当だったのか。1日の声明で「テロリストに罪を償わせる」とした表現が、挑発と受け取られる恐れはないのか。
野党はこうした点について、国会の場で厳しく追及してほしい。
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