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「スキ」の強さと脆さ。アイロニーとメタファーの「ユリ熊嵐」5話

2015年2月3日 11時00分

ライター情報:青柳美帆子

「ユリ熊嵐」5話「あなたをヒトリジメにしたい」。銀子の妄想と「スキ」が爆発する回でした。

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月曜深夜アニメ「ユリ熊嵐」(TOKYO MXほか)5話「あなたをヒトリジメにしたい」では、銀子の「スキ」が描かれた。

椿輝紅羽の家に(むりやり)引っ越してきた百合城銀子と百合ヶ咲るる。2人は紅羽の「友だち」になろうとするが、紅羽はかたくなな態度を崩さない。紅羽にとっての「友だち」は、消えてしまった泉乃純花だけなのだ。
嵐が丘学園での紅羽は、変わらず「透明な嵐」に巻き込まれていた。紅羽のクラスからはクラスメイトが次々と姿を消しているが、それがまるで紅羽のせいのように語られている。
「私に近づくと不幸になる。今聞いた話、本当よ。『透明な嵐』に巻き込まれるわ」「私と『友だち』になれば、あなたたちも『排除』される。それがこの群れの掟」
クラスの中心人物である百合園蜜子も鬼山江梨子もいなくなった教室。ボーイッシュな外見の針島薫が紅羽と接触してくる。
「今朝、みんなで話し合ったんだけど、私たちが間違っていたわ」「私たち、これまで本当にひどいことをしたと思う」「だから、償いたいの。あなたと泉乃さんに」
突然の態度の変化。それは本心からのものなのだろうか、それとも……?

「私はもう一度、紅羽と『友だち』になりたい。紅羽の『スキ』がほしい。そのために壁も越えた、るるも巻き込んだ」
4話では、るるの過去が寓話調に語られた。そして5話では、銀子の過去が断片的に描かれている。銀子の持っているペンダントは、紅羽の母・澪愛が17歳の誕生日に箱仲ユリーカからもらった「スキ」の証。どうやら紅羽と銀子(クマ)は昔は友だちで、銀子は「スキ」をもらっている。しかし紅羽は銀子のことを忘れてしまっているらしい……。

「ユリ熊嵐」の「スキ」は、幾原監督の前作「輪るピングドラム」に似ている(ちなみにBD-BOXが2月4日に発売される。バンダイチャンネルでも全話視聴可能)。最終回にこのような台詞がある。
「君と僕はあらかじめ失われた子どもだった。でも世界中の殆どの子ども達は僕らと一緒だよ。だからたった一度でもいい、誰かの『愛してる』って言葉が必要だった」
「たとえ運命が全てを奪ったとしても、愛された子どもは、きっと幸せを見つけられる。私たちはそれをするために、世界に残されたのね」
「輪るピングドラム」で描かれた「愛」は、強いエネルギーを与え合うものだ。

「ユリ熊嵐」の「スキ」は、「愛」と同じく強いエネルギーであることには変わりはない。けれど「愛」よりもエゴイスティックな面も描かれている。

ライター情報

青柳美帆子

1990年生まれ。大学で日本文学を学びつつ、ビジネス書の本文デザインをお手伝い中。ワセダミステリクラブ(大学ミステリ研)に所属。好きなものは同人誌(読む・書く・作る)と少女革命ウテナ。
ツイッター/@ao8l22

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