脱原発を目指す有識者や技術者らでつくる「原子力市民委員会」(東京)は1日、福井県小浜市勤労福祉会館で、原子力規制委員会の安全審査が進む関西電力高浜原発3、4号機の再稼働についての自主的公聴会を開いた。参加した市民ら約70人からは、再稼働や避難計画の問題点を指摘する意見が出された。
公聴会は鹿児島県薩摩川内市に次いで2回目。この日は同委員会座長の吉岡斉・九州大大学院教授や、鯖江市出身の大島堅一・立命館大教授らが出席。規制委の新規制基準、再稼働の経済性などについて説明した。
意見交換で男性の一人は「立地住民が再稼働に明確に反対できないのは雇用問題などにある」とし「送電している関西の人たちも嶺南の現状を考えてほしい」と述べた。
これに対し大島教授は「原発をなくすことは明るい未来を開くという観点で、地域が自立できる政策を打ち出すべき」と答えた。避難計画について「なぜ事業者ではなく自治体がつくるのか」など疑問を口にする参加者もいた。
公聴会後、会見した吉岡教授は「(再稼働の)推進派の人たちにも情報発信していく」とした。
同委員会は公聴会の内容を取りまとめ、年度内に県や関電などに報告する。