1月 052015
 

大学や大学院で研究を始めるにあたり,まずは自分がやってみようと思う研究分野の最先端を知っておく必要があります.自分で研究テーマを決める場合でも,教員から研究テーマを与えられる場合でも,同じです.最先端の研究について知るには文献調査が不可欠です.文献には,学術論文や特許など色々な資料が含まれますが,ここでは,論文と呼ぶことにしましょう.

論文を読むという作業は,特に最初の3報程度を読む作業は,泣きそうになるくらい困難なものでしょう.見たこともない単語だらけであるばかりか,英和辞典で日本語に直しても意味がわからない単語だらけであることは普通です.その上,頑張って読んでみても,研究の背景がわからないし,内容がわからないし,とにかく難しすぎてもう嫌だと感じるかもしれません.それが普通です.

それでも,論文に書かれている内容を理解するために,いっぱいテキストや事典や辞典を読み漁って,わからないところを一つ一つ潰していけば,論文の表現はパターン化されているので,スラスラと読めるようになります.挫けずに頑張ってみましょう.

研究室に配属されて,生まれて初めて研究なるものに着手する学部4回生であれば,まず,上記の状態(論文がそこそこスラスラと読める状態)になることを目指しましょう.もちろん簡単なことではありません.それだけでも膨大な勉強が必要になります.本気で論文を読み始めたら,すぐに大学3年分の勉強量を超えることでしょう.それくらい勉強しないと,最先端に追いつけるはずがありませんよね.でも,間違いなく実力が付きます.そうすれば,修士課程で,仮に研究テーマが全く違うものになったとしても,あるいは将来,自分で新しいプロジェクトを立ち上げることになったとしても.研究の立ち上げは劇的に速くなります.

大学院に進学して本腰を入れて研究をするようになったなら,修士課程1年目では,たくさんの講義に加えて,ガンガン論文を読んでいく必要があると思います.ここで,文献を調査する癖,論文を読む癖をつけておかないと,文献調査もせずに我流で時代遅れな問題解決を図る技術者なんかになりかねません.折角,大学院にまで行ったのに,それでは勿体ないですよね.

世の中には途方もない数の論文が存在しますが,文献データベースなどをうまく活用して,読むべき論文を短時間で掘り出し,短時間で読んで理解する力は,とても重要です.そういう力を学生のうちに是非とも身に付けておいて欲しいと思います.独創的な研究もそこからです.

読むべき論文数が決まっているわけではありませんが,私の個人的な感覚では,学部4回生なら少なくとも5報,修士課程なら数十報,博士後期課程なら100報以上が目安です.斜め読みではなく,きちんと読む論文の数です.論文を読んでいない,あるいは自分でよく考えていない学生の卒業研究発表や修士論文発表は,仮にスライドの体裁が何とかなっていたとしても,自分の研究の位置付けすら曖昧になっているので,すぐにボロが出ますよね.痛々しい質疑応答になります.そうならないのは当然ですが,大学院で研究するなら,「この分野のことなら私に聞け!」と言えるくらい,論文を読んで欲しいなと,一教員としては願うのです.

主要アドバイス一覧

勉強,レポート作成/論文執筆,研究発表/プレゼンテーションについて,主に卒業や修了を目指す学生へのアドバイスの一覧

(2015年1月15日リンク追加)

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