小野太郎、石川智也
2015年2月2日21時10分
フリージャーナリストの後藤健二さん(47)を殺害したとする映像が公開されてから一夜が明けた2日、後藤さんゆかりの施設は悲しみに包まれた。一方で、その遺志を受け継ごうと、メッセージを発した学校もある。
後藤さんが2010年に訪れ、子どもたちと交流した児童養護施設「明星園」(長崎市)では、子どもたちに悲しみが広がった。職員によると、1日にニュースが伝わると、後藤さんを知る子どもたちは誰も声を上げず、ただぼうぜんとテレビを眺めていたという。
高校3年の少年(18)は、「戦争の裏側で起こっていることを伝えたい。子どもたちの姿を伝えたい」と語る後藤さんの笑顔が、脳裏に焼き付いているという。「ニュースを見ても、受け入れられなかった。何とか命だけは助けてもらいたかった」と話した。
職員によると、後藤さんの拘束が伝わって以降、小学生の女児は「おじちゃんどうなるの?」。高校1年の少年は「『イスラム国』の怖い夢を見た」と話したという。
園長の奥貫賢治さん(66)は「本当に気さくで優しい方だったから、これだけ子どもたちを引きつけた。本当に無念だったと思う。子どもたちと一緒に冥福を祈りたい」と語った。
「この事実をどのように表現したら良いのか、言葉にできません」。後藤さんが10年間、中東やアフリカの子どもたちの現状を語る特別授業を続けてきた玉川聖学院(東京都世田谷区)。2日は入学試験の日で、登校できない生徒の動揺を心配して生徒と卒業生向けのメッセージをホームページに載せた。
同校では後藤さんの拘束を知ってから毎日、中学と高校の生徒約700人が、礼拝堂で解放を祈り続けた。「私にも何かできないか」「一緒に祈りたい」との声が生徒や卒業生から多く寄せられていた。
水口洋校長(62)によると、後藤さんは授業でいつも「出来事に一喜一憂するのではなく毎日の生活を大切に」と語っていた。
後藤さんが私たちに伝えてくださったメッセージは――。学校が生徒に向けた約700字の文章には、こうつづられている。「どんなに悲惨な現実があったとしても、それにより怒りや憎悪を膨らませるのではなく、事実を事実として見極めることであり、その中から自分の置かれた場で、平和への道筋を探り出す努力をすることの大切さでした」。今、あらためてそのことの意味を問い直したいと思います、としている。(小野太郎、石川智也)
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朝日新聞社会部
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