後藤健二さん:広がる悼む声 日本のイスラム教徒から

毎日新聞 2015年02月02日 21時44分(最終更新 02月03日 00時05分)

「後藤さん殺害」を受けた主な関係団体の声明
「後藤さん殺害」を受けた主な関係団体の声明

 ◇「シリアの子供に寄り添った人を殺すとは」

 イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたとされるジャーナリスト、後藤健二さん(47)を悼む声が、日本で暮らすイスラム教徒の間に広がっている。シリアの難民キャンプで暮らす子供たちからは、後藤さんに感謝するメッセージが寄せられた。国籍や宗教、年代を超え、大勢の人が日本とイスラム社会の良好な関係が続くことを願っている。

 「後藤さんはイスラム教徒に身近であり続け、その現状を世界に伝えようとした」。後藤さんの「殺害」映像がインターネット上に公開された1日、「日本イスラム文化センター」(東京都豊島区)では、大勢のイスラム教徒が祈りをささげていた。

 パキスタン出身のクレイシ・ハールーンさん(48)は「後藤さんはシリアの子供に寄り添った優しい人。そんな人を殺すとは」とISを非難した。スリランカから来日したジュヌス・イムティヤスさん(62)は「コーランには不当に人をあやめるのは全人類をあやめるに等しいとある。ISはその教えに反する」と訴えた。

 東京都内にある国内最大規模のモスク「東京ジャーミイ」。代表を務めるトルコ出身のアラス・ムハンメッド・ラーシットさん(30)は2日、後藤さんを悼む集会に参加し「日本人もイスラム教徒も一緒に平和を守ろうという思いを共有した」という。新潟市のモスク「イスラミックセンター新潟」の小島夢者人(むじゃひど)会長(54)=パキスタン出身=も2日記者会見して「誰もISに共感しない」と事件を非難し、後藤さんの死を悼んだ。

 「後藤さんはシリアと日本のヒーローです。本当にありがとうございました。そして天国で会いましょう」。日本シリア友好協会のフェイスブックには、後藤さんが通ったシリアの難民キャンプで暮らす子供たちから、感謝の思いをつづったメッセージが寄せられた。

 後藤さんがキャンプを訪ねるようになったのは2年前。毛布や食事を持参し、子供たちを喜ばせた。友好協会のシハブ・モハメッド会長(45)がキャンプに連絡して後藤さんの死を伝えると、子供たちからメッセージが寄せられたという。

 一方で、心ない中傷に心を痛めている人もいる。「テロの国に帰れと言われた」。シハブ会長に相談してきたシリア人学生は「後藤さんのことはもちろん悲しい。だが私たちシリア人もISに毎日のように何百人と殺されている」とおびえた様子で話したという。

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