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 「イスラム国」を名のる過激派組織が、イラク第2の都市モスルを制圧し、カリフ制樹立を宣言、国際社会の脅威として立ち現れて半年が経つ。日本人人質事件の発生により、「イスラム国」の“恐怖”は、日本でもより身近な問題として認識されるようになっている。

 「イスラム国」についてはさまざまなメディアで、関連記事・解説が出ている。そこでは、狂信的とも言える宗教解釈と残虐な行為、インターネットを駆使して戦闘員を勧誘しようとする“開明的”な姿勢、石油の密輸などによる資金力など、実態解明がめざされている。

 問題は現在進行形であり、時事的な性格をもっているため、日々の情報からその全貌(ぜんぼう)を理解するのはなかなか容易ではないが、読者の知的関心に応える多くの良書が刊行されている。

 ■台頭の背景分析

 これまでメディアなどで伝えられてきた情報を、改めて整理して理解したいのであれば、国枝昌樹著『イスラム国の正体』がお薦めである。「イスラム国」に関する解説書は各出版社から複数刊行されており、それらも基本情報を把握するのに有益である。だが本書は、イラクとシリアの両国で勤務経験を持つ元外交官による書であり…