米MS:ウィンドウズ10無償提供 スマホ市場挽回へ
毎日新聞 2015年01月22日 19時43分(最終更新 01月23日 00時31分)
米マイクロソフト(MS)は21日、今年後半に発売する次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」を発売から1年間、「7」以降の利用者に無償提供すると発表した。これまでの有償提供を転換する。スマートフォンのOSとも共通化し、大きく出遅れているスマホ市場で挽回したい考えだ。
「プライベートと職場で同じように扱えるウィンドウズを作る」。MSのサトヤ・ナデラ最高経営責任者は21日、米西海岸ワシントン州での発表会で狙いを説明した。
パソコン(PC)の世界市場で、OSのシェア約9割を占めるウィンドウズだが、スマホでは米グーグル「アンドロイド」、米アップル「iOS」に大きく水をあけられている。米調査会社IDCによると、2014年の世界シェアは2・7%に過ぎない。「スマホやタブレット端末にもウィンドウズを普及させるため」(IDCジャパンの敷田康アナリスト)、無償提供によって「10」の利用者を増やし、スマホなどに誘導したい考えだ。
従来のウィンドウズは、PC用とスマホ用で異なっており、アプリ(応用ソフト)業者も別々にアプリを開発する必要があった。これが一本化されるため、開発業者にとってもメリットは大きい。
新たな機能も盛りだくさんだ。新閲覧ソフト「スパルタン」(仮称)を搭載し、閲覧しているサイトに、キーボードだけでなく指でメモを書き込んだり、それを共有したりすることもできる。さらに、今秋にも発売するゴーグル型端末「ホロレンズ」を装着すると、実際の視界の中に、各種情報や操作ボタンの3D(立体)映像が現れ、身ぶりや音声で操作できる。MSのゲーム機「Xbox」との連携も強化しており、臨場感あるゲームなどでの活用が見込まれそうだ。
もっとも、スマホ市場では「アンドロイド」「iOS」が圧倒的な存在感を示しており、そこに食い込むのは容易ではない。OSはあらかじめ端末に組み込まれているため、端末メーカーや通信会社の動向がカギを握ることになる。
一方、PCメーカーには無償提供によって、PCの買い替えが進まなくなるとの懸念もある。OSの更新を機に買い替える利用者が多いためだ。PCメーカー担当者は「OSの出来が良ければ、PC需要が鈍るかもしれない」と警戒する。【種市房子、ワシントン清水憲司】